内容説明
ぼくらはなぜペンギンが好きなのか?自然環境下では一羽も棲息していない日本が、北半球随一の「ペンギン大国」に成長した理由とは…。
目次
序章 究極の海鳥と日本人の物語
第1章 ぼくらはペンギンが好きなのか
第2章 ドングリまなこが見た皇帝
第3章 カビと水虫薬
第4章 西のペンギン王国
第5章 ペンギン帝国リュツォホルム市発
第6章 ペングイッシュを話した男
第7章 身の丈の革命
第8章 日本人のペンギン学
第9章 フンボルトペンギンはぼくらのペンギン
第10章 氷山のむこう側
終章 ペンギン大国の明日
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年、兵庫県明石市に生まれる。千葉県千葉市育ち。東京大学教養学部(専攻は科学史、科学哲学)。卒業後、日本テレビに入社。科学技術庁、気象庁の担当記者を経て、97年に退社し、フリーランスに。97年から98年にかけてニューヨーク・コロンビア大学に研究員として在籍し、その成果は『動物園にできること』、『緑のマンハッタン』(ともに文芸春秋)の二冊に結晶した。そのほかの著作としてネイチャーライティングに『クジラを捕って、考えた』(パルコ出版)、『フロリダマナティの優雅なくらし』(筑摩書房)、『イルカとぼくらの微妙な関係』(時事通信社)、『オラウータンに森を返す日』(旺文社)、『へんてこな動物』(ジャストシステム)、小説に『夏のロケット』、『リスクテイカー』(ともに文芸春秋)がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あみやけ
49
三宅香帆さんの本で知りました。とっても興味深かったです。まず、ここまでペンギンが人気のある国は日本だけであること、そのきっかけは南極観測船と捕鯨にあること、つまり始まりは昭和であること、自分が子どもの頃のサンスターやクールミントガムが人気に火をつけ、サントリーの酎ハイなどでそれに拍車がかかったこと。日本の水族館や動物園はかなりペンギン研究に貢献しているようです。もちろん、現代の環境問題ともかなりかかわっています。ここまで知るともっと知りたくなります。まずはペンギンに会いに行きます。まずは、今度の土曜日。2025/06/22
mokamoka
11
日本人は世界で一番ペンギンが好きらしい。え?だって可愛いからやん?と思うけれど何故ペンギンを可愛いと思うに至ったか、真面目に学術的に考察している。うーん面白い!なるほどーの嵐。ラストは動物園・水族館の原罪に落涙。人間の持つ残酷さ、傲慢さに眠れなくなる。南紀白浜アドベンチャーワールドだけが表立って断罪されているけれど、全ての動物園・水族館にはこの罪があるのではないか。ペンギンおよび全ての動物たちの福祉を願わずにはいられれない。可愛いペンギンの幸せは人間の幸せでもある。2011/08/10
Tadashi_N
9
日本人のペンギン愛は捕鯨と関係がある。熱帯にもペンギンはいる。2025/09/07
シャル
6
ペンギンと日本人の関わりがどう始まり、何が起こり、これからどうしていくべきか。この本においても、ネイチャーノンフィクションにおける川端氏の視点は、やさしくも鋭い。ペンギンを含む動物達への原罪と、その上になりたっている今の自分達の感情や意識。それを自覚して、可愛いで思考停止するのではなく、さりとて罪の意識で歩みを止めるのではなく、今、ペンギンのために出来ることを考えねばならない。そんな意識へと背中を押す一冊。2011/09/10
ganesha
5
64年生まれの作家による日本とペンギンについてまとめられた一冊。ペンギンに尺八を聴かせた多田恵一、日本人はなぜペンギンを可愛いと思うのか、捕鯨とセットのペンギン、初の繁殖やペンギン基金などとても興味深かった。長崎まで見に行ったコガタを思い出しつつ読了。2024/12/10