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出版社内容情報
米粒ほどの巻貝が、かつて日本各地の人々を死に至らしめた!日本住血吸虫症を撲滅した、官民一体の知られざる奮闘を描く書き下ろし
内容説明
米粒ほどの巻貝に潜む虫が、かつて各地の人々を死に至らしめた!しかし日本は、この寄生虫を駆遂した唯一の国である。日本住血吸虫症撲滅までの歩み。
目次
第1章 死体解剖御願
第2章 猫の名は“姫”
第3章 長靴を履いた牛
第4章 病院列車
第5章 毛沢東の詩
第6章 果てしなき謎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
43
日本住血吸虫症のことは教科書で習った覚えがあり、以来ずっと頭の片隅にあった。1904年に吸虫が発見され、ミヤイリガイが中間宿主として判明したのが1913年。日本での終息宣言が1996年。実に100年を超える闘いである。本書は世代にわたってこの病気と格闘した人々の歴史を克明に記した努力作だ。後半ではきれいな水や清流にしか棲めないミヤイリガイを駆除し感染経路を絶ったことで、豊かな自然が失われ、メダカやホタルが消え、生態系が崩れてしまったことを上げている。衛生大国へと突き進む裏に隠された皮肉な代償といえそうだ。2024/06/12
to boy
22
名前は知っていましたが日本住血吸虫症がこんなにも恐ろしい病気とは知りませんでした。成長が止まり、おなかが膨らんで死に至る。明治初期から地方病に悩んでいた山梨、広島、佐賀県での住民たちを苦しみから救おうとたくさんの医師たちの努力に頭が下がります。中間宿主であるミヤイリガイを根絶するための戦いは100年以上かかり現代ではこの病で苦しむ人がいなくなった。そして今ではこの経験をもとに海外での吸虫症の根絶に活躍する日本の医師たち。素晴らしい一冊でした。2024/10/23
わむう
21
日本住血吸虫症の発見から収束にいたるまでのノンフィクション。動物実験を行うために、たくさんの動物たちが人間のために、犠牲となってくれていました。2024/06/21
ソープ
12
とても怖いと感じた本です。つい最近まで、いや、現実にはまだ生息している土地もあるとの内容。小さな貝ですがとても恐怖です。私の年齢ではこの病気の患者さんは多分見たこともあったような記憶があるし、親からも色々な場面で注意を受けたような思いもあります。今後も要監視の病気です。余談ですが・・庭いじりしていると時々巻貝が。。ちょっとドキッとして読了しました。2024/07/17
shion
11
読了。 日本住血吸虫症は、腹に水が溜まって膨れ上がり、死んでいく。生育不全や脳症も起こす恐ろしい病気。農作業によりかかることが多いとわかっていても、それをしなければ生きていけない。この病気の原因究明、治療法、予防、根絶への闘いの記録である。世代を超え、100年以上かけて、ひとつひとつ解明していった。この問題に取り組んだ医師や関係者たちに頭が下がる。2024/06/21