出版社内容情報
高度成長が終わった昭和四〇年代、その新しい税のシステムは大蔵官僚の頭の中に生まれた。四半世紀にわたる壮絶な改革のドラマ!
目次
第1部 保守本流と税(黎明―高度成長の終わり;大平正芳の贖罪―赤字国債と遺言 ほか)
第2部 社会党とは何だったのか(PR作戦―電通と大蔵省;土井たか子の進撃―税の反乱 ほか)
第3部 冷戦崩壊後のルール(国民福祉税の内幕―小沢一郎と斎藤次郎;大不況の種子―消費税五パーセント上げの力学;抵抗政党の消滅―ハチキン西岡瑠璃子、たった一人の戦い)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
87
日本の大型間接税をめぐる物語である。 歴代総理大臣と大蔵官僚たちの 間接税への取り組みが丹念に描かれる。 新たな税の導入という視点で、政界の流れを 記載しているため、読みやすく 新鮮である。 あの時代、どんな駆け引きが行われたのか… 今や キーワードしか覚えていない 少し昔の話が蘇る…税の攻防の物語だった。2023/04/30
Kenji Suzuya
0
売上税構想から、一般消費税、消費税成立、国民福祉税、消費増税5%成立までを、大蔵官僚の動きや考えを中心に追っている。政策の進め方として、トップダウンで強力に実現を図る主計局的・剛腕なやり方と、丁寧に愚直に広く合意形成を募る主税局的なやり方とが随所に対比されている。増税という国民に痛みを求める政策については、後者のやり方でなければ結局はうまくいかないというのが筆者の推すところである。2016/06/17
AI
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臨場感あり、戦後の日本政治の中での税制のありようを含めたバックグラウンドの情報もしっかりしており、この種の本では珍しく次を読みたい、読みながら面白いと何度も思う本だった。 中曽根内閣における官邸と財務省の力関係、確執、社会党が沈む中での共産党の相対的浮上と野党連携、主税と主計の根本的確執、主税の潔癖、愚直すぎて世の中の空気を読まずに突っ走る性質、今に通じるものが多々あり、とても20年近く前の書とは思えない。 税は政治、を体現した、とても読み応えのある1冊だった。2016/01/24