出版社内容情報
第二のハイフェッツ、と讃えられた少年はたった一人で米国に留学、やがて失意のうちに帰国した。近代日本の運命に似た、天才の悲劇
内容説明
少年は、ヴァイオリンを手にしたとたん神になった。マックス・エッガー、ヤッシャ・ハイフェッツ、江藤俊哉、ダヴィッド・オイストラフ―世界の名だたる巨匠たちはこぞって少年の演奏に驚嘆し、新しい才能の誕生を祝福した。やがて昭和30年、少年はジュリアード音楽院に留学する。そこで彼を迎えたのは、日本に倍する米国人の絶賛と、深い深い孤独だった―。これは、日本そのものの運命にも似た、清冽な魂の悲劇の物語である。