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出版社内容情報
ある朝の悲劇が女優アニー・デュプレーから両親の記憶を奪った。はたして父が遺した写真は失われた時間をとり戻してくれるのか?
内容説明
日曜日の朝、しずかに死んでいった父と母。そして八歳の私は「ふたり」の記憶を消し去ることで生きつづける…写真家の父がのこした写真を手がかりに、失われた愛の記憶はもどるのか。そして―悲しみは癒されるのか。フランス実力派女優の「真実」の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
13
「過ぎ去りし祭りの写真」の中の母の顔がクローズアップされていくところで、映像の中に母を探すアウステルリッツ(ゼーバルト『アウステルリッツ』)を連想してから、本書と『アウステルリッツ』は、私の中で異母兄弟のように思えてならなかった(恐らくは巻頭に引用されているペレックの『Wあるいは子供の頃の思い出』も含めての異母兄弟なのだろうけれど、未読なので近々読みたいと思う)。その後の、著者の友人としてナチスに両親を殺されたユダヤ人が出てくるくだりは、この二作を繋ぐ網目を多少補強したに過ぎない。2016/05/19
ルナティック
4
両親の事件はあまりにも有名であり、その興味で読んだ。私が感じたのは、両親に対する怒り。そして自分に対する悲しみ。この本は決して、亡き両親と和解するものではない。ただ子供から成長し、両親のことを、著者自身がひとりの女性として見ることができるようになったことで、書くことができるようになったのかも。写真を世に出すことも目的だろうが。自身を冷静に見ているので、冷たい印象もある。しかし不快ではない。冷たさの中から、何かを掴もうとするかのようだ。母親に宛てた手紙は圧巻。それがあるから、ひとつの物語として成立している。2015/10/12
すいれん
2
重い。めちゃくちゃ苦しい。過去の痛みが、現在進行形。最後まで読むのが辛かった。2016/03/05