出版社内容情報
襲いかかる謎の殺人ウイルス。次々に倒れる感染者。うろたえる医療団……現地ザイールに居合せた医師が描く「未知なる敵」との死闘
内容説明
ヤンブクは実在の場所である。そこにフランダース地方のスグラーベンウィーゼル(アントワープ北東の村)に本拠を置くマリアの聖心会のシスターたちと淳心会の神父たちが伝道所を設けている。辺境にあってその規模は大きく、素晴らしい実績を上げてきた。だが、一九七六年の末、エボラという名の新ウイルスがもたらした殺人的伝染病に見舞われ、能率的で平和な伝道所は打ちのめされた。断片的な資料に当時を知る人々へのインタビュー、個人の手紙、日記、そして科学的な実地調査記録などを加え、さらに著者がザイールにいた時代の記憶をたどり、事実関係をふまえたフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
25
この本は、アフリカの村にいたベルギー人の神父、修道女が地元民の奇病に関わっていく、それがエボラウィルスということが分かる顛末。前に読んだ『ホットゾーン』より具体的に病状のことも書かれていたが、一方で神父・修道女の宗教観も多く、イマイチ、スピード感に欠けているようにも思えた、最近、アフリカでエボラがあ世界中に蔓延しないことを祈るばかりだ。2014/07/13
森
3
エボラ出血熱という致死率のかなり高い感染症については、2014年のパンデミックで初めて知った。しかしエボラウィルスが発見されたのはそれより30年以上前のことだった。本書は1976年のザイールで起きた、エボラによる犠牲者と医師たちの闘いを、実際に現地に赴いた外科医が執筆したほぼノンフィクションである。2014年の報道では感染拡大の原因は、「遺体を遺族が洗うという現地の風習」としており、実際に遺体を浄めること、それが飛沫感染に繋がっていることは本書でも触れられている。しかし2017/04/08
ぐだぐだ
0
どんなに教化されたシスターだって、この殺人ウイルスには理性を保てない。2016/05/03
Maumim
0
1998年9月12日読了。
うぃ
0
名作「ホット・ゾーン」は1989年のレストン事件のノンフィクションだが、第1部はそれ以前の話である。その中でも衝撃的な1976年の流行について、当時ザイールの医者だった方が執筆した本があると聞き手に取った。 ヤンブクという、ザイール(現コンゴ)の中でも特別田舎の村にカトリックの伝道団が運営する病院があった。ある時から悲惨な死に方をする患者が発生しはじめ、病院関係者も次々と倒れるが、ザイール政府の悪政による機能不全のため救援はなかなか来ない…。シスター達が長年かけて築いた村人との信頼も揺らいでいく。2023/03/04