出版社内容情報
初公開された「二・二六裁判記録」は事件の謎にどんな光をあてたか。資料に残る加筆、改竄の意味は?昭和史を知る上で必読の書
内容説明
著者の原秀男氏は元陸軍法務官。戦後は弁護士として日弁連理事、脳死臨調委員などを歴任した。戦前、氏は軍法会議の倉庫で「尊皇討奸」の旗、血塗られた軍刀と共に保管されていた「二・二六事件裁判記録」を夢中で閲覧した。空襲で焼失したと思われたこの記録は平成五年、東京地検で初公開される。再会した資料を詳しく検討し、今もって謎の多い二・二六事件の真相に迫る。
目次
1 消えた裁判記録
2 雪の二月二十六日
3 大臣告示の疑点
4 指揮権発動
5 軍法会議とは何か
6 裁かれる陸軍大将
7 幻の昭和維新詔勅
8 対決
9 無罪への道
10 兵への判決
11 苦悩する法務官
12 濠北の戦場で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
19
○多くの部分を占めている真崎大将の裁判の話は興味深いものでした。真崎大将には嫌悪感を持っており、その細部発言が読めたのは良かったです。2025/10/03
keint
10
発見された二・二六事件の軍法会議の書類を読み解きつつ、著者の二・二六事件に関する疑問点を解いている。二・二六事件に直接触れているのは半分くらいで、残りは著者の戦争体験を交えながら戦争における法律に関する読み物的な要素が強くなる。しかし、戦前の法律における軍隊・軍人の立ち位置や陸軍刑法、軍法会議のプロセス、国際法による捕虜の扱いなど軍に関する法律についての解説がとてもわかり易くためになった。2020/02/17