出版社内容情報
開高健という戦後文学に稀有の才能。その発芽、焦燥、飛躍の過程をこれほど鮮烈に活写した文章はない。朋友による渾身の鎮魂譜!
内容説明
ナイフで削いだようにざっくりとこけた頬に翳を溜めた、背の高い少年。口数少なく、教室の片隅で息をひそめていた男。…開高健十七歳の肖像描写にはじまるこの物語は、ひとりの作家の才能の萌芽生成、野心と焦燥を臨場感あふれる文体でえがきだして過不足ない。ファン待望の力作評伝である。
目次
夜はいつ明けるか
沖を夢みる
いくつもの山いくつもの河
夢の渚で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
6
開高健の盟友といえば谷沢永一と、本書の作者・向井敏。「青春の闇」は代表作と絡めたタイトル付けでしょうが、早くに父を失い、学生ながらアルバイトによって家計を支えなければならなかった開高青年の「青春」が文学仲間だった作者の回想とともにつづられる。なにかで開高健は私小説とは対極にある作家みたいなものを見た記憶があるけど、果たしてそうか。代表作の闇三部作はともかく、初期の作品でも青春時代の飢餓体験と鬱屈からの爆発的エネルギーが作品に注がれているように思えるのだが。とにかく「青春の闇」は壮絶な体験だったろうと思う。2018/11/09
Gen Kato
0
小説は骨太だし随筆も旅に釣りにいかもの食いに…開高健はとにかく「男」に好かれた人だったことがわかります。2014/02/17