出版社内容情報
津和野の少年が炭鉱務め、兵役、教員を経て絵描きになった…柔らかな水彩画が、心温まる追憶にさらなる味わいを添える「昭和」の話。
内容説明
『旅の絵本』『ふしぎなえ』『ABCの本』などが世界中で愛されている画家の、初の自伝。津和野での少年時代から『街道をゆく』の司馬遼太郎氏のことまで、昭和を生きた著者の人生が、ユーモア溢れる文章で綴られる。炭鉱務め、兵役、教員時代など知られざる一面も。50点以上描き下ろした絵が心温まる追憶に味わいを添える。
目次
ハナ ハト マメ
父のこと
姉と刺青の善一
不登校と不信仰
つえ子のこと
少年倶楽部
七月七日
美の使徒
宇部工業学校
宇部の少年時代〔ほか〕
著者等紹介
安野光雅[アンノミツマサ]
1926年島根県津和野町生まれ。山口師範学校研究科修了。1950年美術教員として上京。教員のかたわら、本の装丁などを手がける。1961年教師を辞め画家として独立。1968年、文章がない絵本『ふしぎなえ』で絵本界デビュー。以降、独創性に富んだ作品や、淡い色調の水彩画の風景などを多数発表。1974年度芸術選奨文部大臣新人賞、ケイト・グリナウェイ賞特別賞(イギリス)、最も美しい50冊の本賞(アメリカ)、国際アンデルセン賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
78
この本のあちこちに、『算私語録』のシリーズで読んだエピソードが出てくるのがなつかしい。もちろん、あれよりは長文であるし、こんなふうに半生記の文脈の中に置かれると、「あれはそういう場面だったのか」と改めて感慨をもたらしてくれる。途中から自伝ではなくなって、時系列にも話題にもこだわらなくなるが、それも安野さんらしい。物故した人々の思い出は切なくなるが、最後はカラッと終わってくれる。森毅先生の「これやねん」の話はすごくいい。全体の中でも、「結婚のこと」に出てくる、子どもへの思いは、本当にその通りだと共鳴したい。2021/05/07
yumiha
52
津和野の安野光雅美術館へ行ったことを思い出した。土蔵のような外観、昔の木造校舎のような室内などなど。ツワブキが咲いていたから、冬だったのだろう。1926年生まれの自叙伝だから、戦争中の様子も描かれていて、「千人力」や「絨毯爆撃」「出征兵士の家」の看板など驚いた。また、「絵は説明ではない」というフレーズにも共感した。絵画展は感じるものなのに、その絵の説明文のところに人だかりがしている様子を苦々しく思っていたから。そして、昨年亡くなられた安野光雅氏の冥福を祈りながら偲んだ。2021/10/14
ぶんこ
51
安野光雅さんと妹尾河童さんとがセットで思い出される。人間としての軸が似ていると思えるのです。この本からも思っていたとおりの安野光雅さんがいらっしゃいました。光雅というお名前をお姉さんたちが名付けられたと知り驚きました。なんと典雅な発想。ABCの本の絵を外国のメーカーが無断で使っていた時も、お金で話をつけようとするメーカーをスルーしてうやむやで終わらせるなど、安野光雅さんらしい。最も心うたれたのは息子さんがお父さんを守ろうとした話。この父にしてこの子あり。冗談で、刑務所から年賀状を出したら大騒ぎが秀逸。2023/03/21
さばずし2487398
34
安野光雅氏のイラスト付きエッセイ集。全部カラーというのが嬉しい。貴重な戦争体験や司馬遼太郎ら著名人との交流、巻末には篆刻のデザインや年賀状の紹介など。昔、国語の教科書に載ってたチックとタックという物語で氏が描かれたイラストが好きだった。残念ながらその絵はなかったけどファンとしては欠かせない一冊だろう。文の流れか?どこか独特な書き方で少し自分には読みにくい感じがしたがユーモアのある人柄は伝わって来た。絵を見る時何でも言葉で仲介しようとするのは良くない癖だというのは本当に自分もそうなってるなあと反省しかり。2026/08/10
fwhd8325
29
伝は、誰でも書けそうでいて、決してそんなもんじゃないことを感じます。表紙を初め、安野さんの作品が素敵です。絵が語ることを書かれていますが、それを証明している作品だと思います。もちろん、今回は文章がメインです。その中には、人生を語ることができる一だからこその考えもあります。そして、それが押しつけでないことが、まさしく自伝を書くにふさわしいのだとも思うのです。2016/08/26




