出版社内容情報
急逝が惜しまれるこの作家の遺稿エッセイ集。焼跡を生の原点とし不良少年たる自己を生涯かえなかったこのひとのスゴ味と心優しさ
内容説明
惜しんであまりあるおおいなる未完の人。そのエッセイ・小文・断簡をくまなく網羅。自他への透徹した眼、亡友・師に棒げる鎮魂、男の生き方、死に方をこれほど清冽に表現した文章は類がない!
目次
いずれ我が身も
雑木の美しさ
ばれてもともと
養女の日常
たったひとつの選択
エジプトの水
物忘れ
血の貯金、運の貯金
「離婚」と直木賞
一刀斎の麻雀
冬の苦行
別れの刻
若い人への遺言の書
川上さんのこと
稚気と密室
相棒にめぐまれて
一人遊び
和田誠は宇宙人
青島幸男さん
あたたかく深い品格
時代の浮草
陽水さんがうらやましい
未完の重たさ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
怜
31
初の色川武大。文章が読みやすく上手いな、と思った。どうやら随筆「選」らしい。それにしてもこのひとの他者を見つめる視線の暖かいこと。馴れ馴れしくもなく大げさでもないその文体。自分のことを書くときはややシニカルなところもまた、好ましく失礼ながらかわいらしいと感じた。青島幸男、井上陽水、野坂昭如、書ききれない見知ったひとのエピソード。故人を追悼する随筆が続くと思わずもらい泣きしてしまった。決して上から他人を見ないだからと言って、へりくだってもないところが魅力。ほかも読みたいと思った。2015/01/04
hirayama46
2
没後に編纂されたエッセイ集。ひとつのテーマに統一されていない雑多なエッセイ集は色川武大には珍しいですね。そのぶん最も素に近い部分に触れられる本になっていたように思えます。滋味がありますね。2021/11/16