出版社内容情報
女の考えているあらゆることを、身近なところから発想して友だちに語りかけるような口調で書いた第一線級女性ライター達の胸の内
内容説明
男性の視点で書かれることの多い新聞に、女性の問題を女性の立場で語る窓のような場所を作りたい。そんな願いから『ニューヨーク・タイムズ』に設けられたコラム「ハーズHERS」には、さまざまな立場の女性執筆者による、さまざまな思いがこめられている。ときに大胆率直に、さきにユーモラスに、そしてあるときは怒りを込めて綴られた文章に、“八○年代”そのものが色濃く反映されている。
目次
自分について(大荷の性;自分だけの部屋;女の歳;夢のなかの恋;予備の寝室)
女の一生について(シングル・ライフ;結婚;夫婦の化かし合い;不倫;別居の楽しみ;再婚;退職)
男について(男が欲しい;強い男、弱い男;男たちよ、元気かい)
女について(現代にふさわしい女;整形手術;なぜフェミニストであることを隠すのか?;中絶;女と科学)
子供について(母親大賞;娘の問題;息子の問題;養子)
両親について(父帰る;ファーザー・コンプレックス;母と娘の絆;父と娘の絆)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奏市
13
1980年代にアメリカの女性作家・編集者たちが生活、ジェンダーなどについて綴ったエッセイ集。時代と場所は違っても思うところは現代の日本の女性たちと同じようなものが多い印象。アメリカでも当時は女性であるために不利益被ることが今日と比べより多かったんだと感じた。不倫についての篇で「夫が浮気をしているのがわかったらどうするか。わたしなら迷わず銃を取りに走ると思う」。さすがアメリカ。妊娠中絶に関して、頻繁に耳にする「独善的な非難の声」ではなく、普段聞こえてこない「説得力のある静かな声」を集めた篇は勉強になった。2021/11/10
かすみ
2
1977年から80年代にかけて、ニューヨークタイムズの紙面に週に一回『HERS』というタイトルのコラムが掲載された。アメリカのウーマンリブ運動の後を生きる女性たち、特に文章の上手い人たちが選ばれて思い思いのテーマで視点を綴るエッセイ。時代の色をよく反映している。この中に収められている『なぜフェミニストであることを隠すのか?』にもある通り、私たちは人間として主張しているのだけれども、それは歴史の中で見ると紛れもなく今までの女たちの人生の上で初めて可能になった主張だということ、忘れちゃいけないと思った。2021/10/25