出版社内容情報
名文の条件とは晴朗で快いこと。既成大家の悪文を容赦なく難じ、文章論義を小説家の独占から解放、自在の文章観で構成された好著
内容説明
カラリと晴れて快いこと。文章がそなえるべき美質のなかで最も大切な徳。世に湿った名文、模糊たる悪文の数は知れない。本書はきわめてさしさわりのある本。かつて論じられざる大家の悪文をあえて例示、文章論議を作家の独占から解放。これほど達意爽快な文章案内は類がない。
目次
第1章 乾いた文章湿った文章
第2章 明晰と曖昧
第3章 文体とは何か
第4章 文章感覚とは何か
第5章 殺しの文句の功罪
第6章 ユーモアで彩る
第7章 文章の気品
第8章 文章のおしゃれ
第9章 文章の効率
第10章 起承転結のすすめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sigh
2
お気に入りさんのお薦めによる。他の『文章読本』は文章の書き方指南だが、本書は例文の魅力の分析であるため、どう読むかの指南書でもある。まず目次が魅力的。「乾いた文章 湿った文章」「明晰と曖昧」「文体とは何か」など、これ自体がもう殺し文句。しかし、彼の話はただ技巧に終始はしない。「どうしても書きたい、人に知らせたいという内容があるからこそ、それを誤りなく、そして快く受け入れてもらうために言葉を選び、構成を考え、文章を練るということが生じるので、その逆ではない。」に大いに賛同。勉強になった。(72/17244)2013/06/09
KAZOO
1
向井さんは読書家なのでかなりさまざまな人の文章を読み込んでいます。この本はその自分の読書歴から感じたことなどをわかりやすく解説してくれています。2013/02/20
ゆうむ
0
野間宏と大江健三郎の悪文のくどさの違い、小林秀雄の殺し文句の危うさ、井伏鱒二の朧化法ユーモア、司馬遼太郎の口語化された漢文脈の文体…いずれのトピックも面白い。「日本語の文章の将来に希望を抱かせる若い作家」として村上春樹のことはベタ褒め。2016/07/08