出版社内容情報
場末の映画館で、試写会で、旅先の異国の劇場で、生きることの楽しみのために観た映画について、またそれを作った監督のことなど
内容説明
時代の精神を切実にうつし出すスクリーンを通し、“いま〈幸福〉とは何か?”を考える。390本の映画・監督・製作者144名、そしてあまたの出演者にふれるいまだかってなかった、映画紹介と観賞と批評。全映画エッセイ。
目次
1 私の映画手帖(映画は音楽で縫いとりされる;サスペンスの花盛りの下で;東京の映画館をめぐりながら;映画の楽しみはまず題名…;東京国際映画祭の周辺から;アフリカ、映画、そしてウッディ・アレン;『それから』と様式とフェリーニと;愛の不在に突き刺さる視線;あるロシアの映画監督の死;幸福をめぐり、映画をめぐり;ビデオから映画へ、映画からビデオへ;いま〈大入り〉映画の条件とは;ある映画的女性論 ほか)
2 映画と日々(現代映画の傾向―世界の曲り角で;『鏡』そしてこの孤独なロシア人について;危機への戦慄―『ストーカー』の前衛性の意味;タルコフスキーの背景にあるもの;『エミタイ』の持つ視線;心の砂漠を流れる河;ヴィスコンティを解く鍵―健全な〈祟高さ〉;Uボートへの鎮魂歌;ヨーロッパの栄光と虚偽の間;ヌーヴェル・ヴァーグ以後;空虚な空間の示す意味;純粋な生命のプロテスト;『カラヴァッジオ』その反転の美学;ポーランド、そしてポーランドを超えるもの ほか)