出版社内容情報
人の心の未知の部分の大きさと深さ、そして生命の不思議さを、謙虚に受けとめる著者が、やさしく語りかける含蓄のふかい人間考察と恩人たちの面影をたどる好随想
内容説明
あなたの心にもわたしの心にも。のぞいてみませんか―人の心と生命の不思議。人のなかの未知の部分の大きさと深さを、謙虚に受けとめる著者が、やさしく語る人間考察と、恩人たちの面影を懐しく綴る好随想集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mikky
14
遠藤周作が物語や深層心理について、また数々の恩人とのエピソードを綴った随筆集。 三島に『狐狸庵』という雅号を批判されたエピソード、自分の中に潜む様々な人格について、フランス文学から読み取れる宗教観など、どの一編も飽きさません。中でも人間の無意識には人類共通の原イメージがあり、物語の元型(アルケティブ)となっているのではないかという考察は本当に面白かったです。梅崎春生や吉川英治とのエピソードも読書好きにはたまりません。折にふれて読み返したい一冊になりました。2023/05/03
なおみ703♪
13
若松英輔氏の本を読んだことがきっかけで、この本へ。随筆は初めて。意外と読みやすかった。キリスト教信者ではあるが、ただ盲目に信じるのではなく、自分なりの解釈をしていていて興味深い。そして人の深層心理を探究している。 人生無駄なことはない、「二分法」を捨てよう、「否定ではなく転化」。黒澤監督の「乱」を面白くない、とはっきり言っているところが面白かった。心の琴線に触れるものとは、心の元型に触れること、母なるものに触れることではないか。無意識という領域に人間の深きものがある。母の胎内に帰りたい願望が人にはある。2023/06/11
kana
7
柴田錬三郎さんの話で、仕事に対する姿勢と言うものを教えられた気がする。『眠狂四郎』など歴史小説で有名な人だけど、生活のために書きたくないものを書いていた頃があった。本意ではない仕事にも真剣に取り組み、それによって物語の作り方を学んだとのこと。転職先の仕事が好きになれない今の自分には心に染みる話だった。楽しくない仕事でも、真剣に打ち込めば身に付けられるものが必ずあるはず!2018/03/29
すみ子
4
だいたいこの本を読み返すのは行き詰まっている時なのだが、今回も前回、前々回と同じく読後は不思議と落ち着いた気持ちになった。罪の中には救いがあるというキリスト教文学に関する章が今回は面白かった。モウリヤックを読んでみたい。2014/08/18
讃壽鐵朗
3
キリスト教作家であると同時に、ふざけた狐裡庵先生として書いていたのが、どこか薄気味悪い2015/08/15