• ポイントキャンペーン

ポリティコン〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 444p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163299006
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

大正時代、東北の寒村に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。1997年3月、村の後継者・東一はこの村で美少女マヤと出会った。父親は失踪、母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。自らの王国「唯腕村」に囚われた男と、家族もなく国と国の狭間からこぼれ落ちた女は、愛し合い憎み合い、運命を交錯させる。過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、外国人妻、脱北者、国境…東アジアをこの十数年間に襲った波は、いやおうなく日本の片隅の村を呑み込んでいった。ユートピアはいつしかディストピアへ。今の日本のありのままの姿を、著者が5年の歳月をかけて猫き尽くした渾身の長編小説。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

103
面白かったです。東北地方の「唯腕村」という閉鎖的な世界が人々の本能をぶつかり合わせているように思いました。ユートピアをルーツにした共同体であるはずが、その実像は過疎、高齢化など多くの問題を抱えているのは地方村における現代社会そのもののように見えます。そこで自ら動く東一。一見責任感が強い青年ですが、その裏では何を考えているかわからない黒いものが感じられました。独善的な東一はこの村でどのような意味を持っていくのか。下巻も読みます。2017/03/22

Tsuyoshi

65
共産主義な集団生活を営む東北の唯腕村。創始者である曾祖父を持つ28歳の東一。村に嫌気がさし、何度か出戻りを繰り返す中、父の死を機に理事長として村内改革に乗り出す。改革を進めるべく奔走すると同時に周囲を押さえつけ、全てを我が物にしたい裏の顔が垣間見れる所など北の首謀者とも重なって見える所があって興味深い。血統制はやはり独裁を導いてしまうのか?下巻へ続きます。2017/12/02

竹園和明

43
【再読】「自然に還れ」等の謳い文句のもと、コミューンがもて囃された時期が少し前にも確かにあった。思想信条を錦の御旗に理想郷を目指し、自給自足の生活を送る共同体だ。本作は山形県の雪深い村に創設された「唯腕村」を舞台とした、コミューンの形成と崩壊の物語。2011年上梓。担い手不足、過疎化、荒んだ人間関係に身勝手な欲望など、今も益々顕著になっている日本の諸問題を詰め込んだような作品。かつての理想郷も時を経て閉鎖的で退廃的な澱んだ空間へ。そこに異分子が入り込み崩壊へと向かう流れの序章がこの上巻。下巻読むのが怖い。2023/12/29

キムチ

41
題名からは何も推測できず読み始めるが、いきなりの奔流。あっという間に乗せられ、上巻を読み切った。時代は2000年チョイ前。舞台は山形新庄市。ヤマギシ会を思い出させる王国「唯腕村」時は遡り、大正時代の自然共同体、ユートピアにルーツを持つという(架空のものだが)読み進めると現れる問題は過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、外国人妻、脱北者・・まさに今日的なそれ。東一、マヤと種々の人物はゴリゴリのむき出し本能人間だらけ。だが、人間本来はこんなものじゃないかなんて考えつつ下巻へ2015/02/16

Yuna Ioki☆

40
407-41-1 冒頭から登場のマヤが重要人物の一人には違いないのだろうが、主役である東一との関係が気になるがなかなか進展しない^_^; 加えて東一の周りでなにやら大きなトラブルが起こりそうな予感を感じさせつつ下巻へ続く。2014/02/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2084210
  • ご注意事項

最近チェックした商品