出版社内容情報
ひょんなことから犬に変身させられたオレが、奇妙な動物や風景が息づくアジアを行く。目眩くシーナワールドが展開する近未来SF。
内容説明
農作物の買い付け人を装って辺境の町に潜入した洪恭順。目的の人工眼球の胚を人語を話す犬に奪われ、窮地に陥った彼が取った最後の方法とは。異形の生物や機械が近未来のアジアを疾走するハイパーSFロードノベル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
32
椎名誠さんの語彙でできた、チベット風味のニューロマンサー。主人公は人ですらない。2018/06/01
林 一歩
10
やはり椎名さんは破天荒なSFが良い。私小説も嫌いじゃないけれど、愉しく読めるのはこちら。「水域」とか「アドバード」とか読み返そうかしら。2012/05/05
長老みさわ/dutch
4
大きな内戦があって、環境破壊と遺伝子操作によって生物相が代わり、荒廃したいつものシーナワールドSF。 これまでの椎名SFでは、そんな世界にあっても主人公は人間に近かったのだが、この世界での主人公はそうでもないようだ。 そして、これまでの主人公はあまり意図もなくこの世界をうろうろしていた事が多いと思うのだが、この作品では主人公は使命を帯びて任務を全うしようとしているのが大きな違い。 シーナSFの中でもかなり面白いぞ2010/09/11
Ryuji
3
★★★☆☆椎名誠さんのSFは他には無い一種独特なものがあります。この小説もなんとも表現のしようのない不思議な世界です。ちょっと難解な部分もあり何度かページを戻って読み戻しました。この本、リアルな映像(映画)にしたらすごく面白いと思います、ちょっとグロテスクになるのかも知れませんが・・。2013/03/07
gsf75000
3
「最終戦争後」の近未来を描くシーナワールド最新作。『武装島田倉庫」から始まった本シリーズも、気がつけば結構な冊数になったよなあ。一見荒唐無稽なようでよくよく考えると妙にリアリティのある世界観と、全編に漂う「もうどうだっていいやあ。」という渺漠とした哀しみのようなものは本編でもしっかりと健在で実によかった。読むというよりはひとつの世界を旅するという方が相応しい一冊。2010/10/10