出版社内容情報
近年再評価の機運が高まっている大平正芳元首相。深い哲学を持ちながら政争に巻き込まれていくその人生を、愛情を込めて描き出す。
内容説明
決してスマートとはいえない風貌に「鈍牛」「アーウー」と渾名された訥弁。だが遺した言葉は「環太平洋連帯」「文化の時代」「地域の自主性」など、21世紀の日本を見透していた。キリスト教に帰依した青年期から、大蔵官僚として戦後日本の復興に尽くした壮年期、そして“三角大福”の一人として党内抗争の渦中へ―「政治家は倒れて後やむ」と言い総選挙の最中に壮絶な“戦死”を遂げるまでを、愛惜とともに描く。
著者等紹介
辻井喬[ツジイタカシ]
1927年、東京都生まれ。元セゾングループ代表・堤清二としての活躍が知られる一方、詩と小説の両方で精力的に創作活動を行っている。詩集『鷲がいて』で読売文学賞詩歌俳句賞、『自伝詩のためのエスキース』で現代詩人賞を受賞、また小説『虹の岬』で谷崎潤一郎賞、『父の肖像』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
21
無口、重厚。エリート官僚でないところが異色であり、田中元首相との共通項。池田元首相、安岡氏や上田教授など師にも恵まれ、その国家観を確立。付け加えて言動の一貫性、そして胆力が外交でも活きる。惜しむらくは時勢。首相としての評価は難しいが、政治家としての成果に一定の評価はすべき。一方、池田氏への助言のタイミングに悩む点に、氏の人柄を感じる。蛇足だが、吉田元首相の「オオダイラ」・・・。長嶋氏を髣髴させる・・・。(笑)政争には辟易だが、アクの強い政治家を通して政治を楽しめた時代かもしれない。2013/04/06
ls529
2
現代の政治家で、こういった広い視野を持った方はどれくらいいらっしゃるんだろう。いっそ、本の中から現実世界へ出て来て欲しい。2017/08/17
yearning for peace
2
「讃岐の鈍牛」こと大平正芳を描いた力作。佐藤定吉の思想に心酔し、洗礼を受けるなど人格形成の基礎を築くなかで、東京商科大では生涯の恩師となる上田辰之助のゼミに参加。大蔵省に入省後、多くの経験を積み、上司だった池田勇人の誘いで、政界入り。吉田茂や池田勇人などの手腕を肌で感じ、じわじわと頭角をあらわし、様々な政争の末、ついに総理の座に。波乱の中に、誠実な姿勢としたたかさを垣間見ることができ、今の混乱劇にふと溜息を洩らしてしまいました。2010/05/11
ゆかっぴ
2
故大平正芳元総理の伝記風小説。パフォーマンスではなく、政治に対してとても真面目に取り組んだ人のようだ。自分の言動をいつも見つめ直し反省する謙虚な姿勢に好感がもてます。また政治家として自分の口から出る言葉の重さも認識して非常に慎重に発言していたこともわかります。2010/05/11
mitya
1
郷里出身の内閣総理大臣ということで、以前から興味があったので読んだ。先見性、判断力、決断力、交渉力、調整力などに秀でていて、外務大臣なども歴任して、手腕を発揮した。「アーウー」などと訥弁だったようだが、命を懸けて政治に自らを捧げた人生だったのだ。2017/06/28
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