闇の奥

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163288802
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

第二次大戦末期、ボルネオ島の奥地で失踪した民族学者はなにを見つけたのか? 彼の足跡を辿って伝説の小人族を追う冒険が始まる。

内容説明

太平洋戦争末期、北ボルネオで気鋭の民族学者・三上隆が忽然と姿を消した。彼はジャングルの奥地に隠れ住むという倭人族を追っていたという。三上の生存を信じる者たちによって結成された探索隊は調査をすすめるうち、和歌山からボルネオ、チベットへと運命の糸に導かれていく。

著者等紹介

辻原登[ツジハラノボル]
1945年、和歌山県生まれ。1985年「犬かけて」でデビュー。90年「村の名前」で第103回芥川賞受賞。99年『翔べ麒麟』で第50回読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で第36回谷崎潤一郎賞、05年「枯葉の中の青い炎」で第31回川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で第33回大佛次郎賞、10年『許されざる者』で第51回毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまご

19
密林を,山奥をある人物をもとめて遡行する一行…この辺がコンラッドへのオマージュですが,ある人物自体は全然違う人物造形のように.綺麗な熱帯の蝶,ノスタルジックな話題の小人族(ネグリト)を絡めて,そのうち急に峻険なヒマラヤが出てきたりと,雰囲気は満点! 最後はちょっとバタバタな感じだったのが残念…. あふれんばかりの和歌山県愛が裏テーマかも?2017/08/03

Bartleby

11
コンラッドの『闇の奥』のクルツと同様にジャングルに消えた三上隆は、“小人”を追う民族学者。後者が消えたのはボルネオの密林。おそらくだが彼のモデルは、博物学者・粘菌学者・南方熊楠だろう。三上はクルツが極端な自我を持つのに対しどこか妖精のよう。対して本作で存在感を持つのが小人。無個性な人間の背後で小人が暗躍する。小人はチベットで暗躍したCIAでもある。小人を突き詰めていくとそこに実体はなく、残るのはただ“制度”だけ。現実と幻想がコインの裏表のようになった小説。2022/12/28

メルコ

8
ボルネオの奥地へ消えた日本人の学者を追って捜索団が贈られるが・・・。「Yの木」に続いて著者の本を手に取った。「Yの木」同様、現実の出来事とフィクションが入り交ざる。作中でも「空想がふくらんで現実をつくる」と語られている。幾つかの中編がまとまって長編を形作られる形式。冒頭の紀州の山奥に小人の住む村があるという逸話から興味をひかれる。登場人物が密林などの奥地に吸い込まれていくように、読み手もまた物語の「闇の奥」に引き込まれていくようである。2019/03/21

鷹図

8
戦中のボルネオから現代の和歌山、チベットを舞台に、ある民俗学者の失踪事件を、小人伝説、首狩り族、笑い男、ダライ・ラマ、果てはあのカレー事件をも取り込んで物語る、剣呑な一冊。しかし件のカレー事件を(被害者遺族はもちろん、関係者が健在な中)、特に本筋と有機的な結び付きを見せるわけでもなく、ただ小道具として用いるのは、いかがなものかと思わなくも。作家の業?当然コンラッドの同名作品を下敷きにしているだろうが、かの古典は恥ずかしながら未読。読み比べて云々出来ない憾みがある中、美しくも不気味な落とし所には身震いした。2016/01/13

kuukazoo

6
面白かった!虚々実々。入れ子な物語構造。ルポルタージュのふりしてるのわかってても騙される(笑)。小人族を探しに戦時中に消息を断ったナチュラリストで民族学者の三上隆を追って、ボルネオ、熊野、チベットを行く捜索隊。彼らが分け入ってゆく前人未踏の地は正に「闇の奥」なのだけど史実と現実と虚構が入り混じるこの小説を読み進むこともまさに「闇の奥」だった。諸星大二郎っぽいかも。随所に見られるすっとぼけ感というか大らかな感じもなんか良い。ラストすげえ。とマジで感動した(笑)2013/07/03

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