出版社内容情報
江戸の末、鄙びた麻布に独り住む男のもとへ通いつめる美少女幽霊にあだっぽい狐女。現世の憂さを忘れさせてくれる、極上の妖異譚
内容説明
人とは添えぬ身なれども―狐女に少女幽霊、何故この男と出逢ったのか、宿縁か、この世の無念か、それとも…絶妙な語り口であやなす極上の人情・妖異譚。
著者等紹介
小林恭二[コバヤシキョウジ]
作家、専修大学文学部教授。1957年兵庫県西宮生まれ。東大文学部卒。1984年「電話男」で第3回海燕新人文学賞、1998年「カブキの日」で第11回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
63
麻布に住む善四郎の身に起こった怪異。最初の夜に現れたのは、その友人が仕込んだニセ幽霊、そのあとは・・、となるのだが、いやになるほど怖くない。作者は、異界の者たちを書きながらも、異界の者たちと言えども悪者ばかりではない、この世への未練は恨みつらみだけではない、といいたいのだろう。その思いが強すぎるのか、なんともあっけらかんとした文章となってしまっている。確かに、祟る話ではないのだが、初との逢瀬で善四郎が痩せていくさまや、初とゆずり葉異界の者同士の絡み合いなど、いくらでも怖くできただろうにと、少しもどかしい。2021/07/17
九鳥
13
小林恭二の新作小説。以前に「本朝聊斎志異」を読んだとき、この梗概ばかりの物語を膨らませたら本が何冊も書けそうだな、と思ったのだけど、それを実行したのがこの物語。麻布で狐と幽霊の美女に出会う男の、時代もの怪異小説。怪談と名乗りつつ、ぜんぜん怖くない。美しい女(と雌)の語る数奇な物語に引っ張られてぐいぐい読んだ。2009/11/15
かっぺ(こと悩める母山羊)
5
女の業や未練が絡み、それに巻き込まれる男が出てくる話なのですが、誰一人として悪意を持つものがいない。人は一人で生きているのではなく、後にも先にもそして現在も皆様々に綿々とつながっているのだと感じさせてくれるお話でした。2011/04/29
キキハル
5
まるで長い浄瑠璃を見たかのようでした。狐が化けた美女のゆずり葉と美少女の幽霊初。子を産むことに執着する初の想いが切ない。善四郎の亡くなった妻やその妹の情念までが初に沁み込んでいく。こういうあたりが怪談なのかとも思わせます。人形師の手によって操られるように隙なくよく練られた物語でした。最後のシーンも絵になりそうなほど綺麗でした。とくにこれはインフルエンザのお供に読んだので、なお一層、夢心地、熱地獄・・・・・ああ、しんど。2010/02/02
Meg Mog
3
怪談〜〜??全然怖くない!物語としても特に山場も無いしなんだかなぁ…押しに弱い無気力男が良い思いしてるだけやん😡風紀上よろしくない!以上。2022/12/21