草すべり その他の短篇

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163271804
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。文芸時評で絶賛された表題作をはじめ、稜線を渡る風が身の内を吹きぬける、山歩き短篇集。

著者等紹介

南木佳士[ナギケイシ]
1951年、群馬県に生れる。秋田大学医学部卒業。現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第53回文學界新人賞受賞を知る。1989年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さと

50
「阿弥陀堂だより」に次ぐ2作目。山へ誘われるというより山に問うた答えを自らの体で受け止め、すべてを受け入れようとする姿、生きていくことを覚悟した姿が謙虚に淡々と綴られる。『森林のなかでは言葉はいらない。からださえ開いていれば、過剰なものから不足しているものへ、五感を通して目には見えぬものが流れ込んでくる』山を知り、一度でも足を踏み入れた事があればこの短編集はずしりと来るだろう。2015/01/30

みも

45
青き時代の熱情の先に味わった蹉跌と、自嘲的諦念を孕んだ逃避の後に朧に見えたランプの様な仄かな灯り。流麗かつ清澄な文体で綴られる雄大で美しい峻厳な山々に投影させるのは、虚ろな視点が焦点を失い彷徨う統制を欠いた心象。その筆致は、あたかも着地点を見失い風まかせに中空を浮遊するタンポポの綿毛の様に儚げで、油断すると細い糸で繋ぎ止めていた思いの欠片が散逸してしまう様な危うさを秘める。50代も半ばを迎え、ひたひたと寄る年波への抗いと馴れ合いを混在させる心理描写は私小説的であると言えるが、それよりむしろ随筆に近い趣き。2018/02/07

chiho

16
約1ヶ月前に初めて登った浅間山を思い浮かべて読みました。「草すべり」すごいコース辿ったなぁ…。それでも行きたかった山なんですね。紗絵ちゃんの気持ちは少し分かりました。2014/09/07

mura_ユル活動

14
南木氏は佐久市に住む内科医。小説家。全4編の山登り短編集。山の出来事と主人公の人生観が交互に織り成す。山は浅間山中心に最終編は穂高岳。読み始めは筆者の体験記かと勘違いした。山の食や道具について詳細が書かれていて、そちらも楽しく読めた。「子供の頃サッカーの練習でやっていたドリブルやフェイントの練習がくだりのときの左右にバランスを取りながらの体重移動に役立っている」と。穂高は今年夏に登った山。親しみもある、苦しみのわかる、景色も頭に浮かぶ。浅間山の「草すべり」下ってみたいけど、膝がかかえている爆弾は大丈夫か?2012/11/21

ichiro-k

14
老いを感じる年代、舞台が馴染みだった山域ということが著者と心情がシンクロしたのか、淡々とした(退屈な=刺激のない)内容に、いつかまた、若い頃に訪れた山域にゆっくりと行きたい、と漠然と思う。本書の内容のように、大半の初老の思い出は、他人にとってはこうした退屈で無意味なモノであろう。こうした思いが私の「独我論」的発想かもしれない。2011/09/11

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