兄弟〈上〉文革篇

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  • サイズ B6判/ページ数 445p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163271606
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ノーベル賞にもっとも近い男の、中国で100万部を突破した大ベストセラー小説。
欲望の限りをつくした弟は、報われずに死んだ兄の遺灰をもって宇宙へと旅立った。拝金に染まった現代中国をブラックユーモアで描く。

血のつながらない兄弟の強い絆と運命を中心に据えて、中国の共産主義の夢と残酷さに満ちた文革時代から、金にまみれた改革開放後の現代という激動の40年を描ききった大河小説は、ブラックユーモアの利いたスピード感のある文体で読みやすい作品に仕上がっています。

内容説明

「母さん、安心して。最後に一杯しかご飯がなかったら、弟に食べさせてあげる」隣人が隣人をおとしいれる文革の時代に、出会ったふたつの家族。男は、やさしい男の子をつれ、女は、つよい男の子をつれていた。ふたつの家族はひとつになり、ふたりは兄弟になった―。

著者等紹介

余華[ユイホア]
1960年、浙江省にて医者の両親のもとに生まれる。歯科医を経て23歳で作家に転身。1992年に発表した『活きる(活着)』(飯塚容訳、角川書店、2002)は、張芸謀によって映画化され、1994年第47回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞(グランプリ)を受賞した。また、これまでの作家活動のなかでグリンザーネ・カヴール賞(Grinzane Cavour、イタリア、1998)、芸術文化勲章(Chevalier de I’Ordre des Arts et des Lettres、フランス、2004)、第1回中華図書特殊貢献賞(Special Book Awards of China、中国、2005)などを受賞している。北京在住

泉京鹿[イズミキョウカ]
1971年、東京都生まれ。フェリス女学院大学文学部卒業。北京大学留学、博報堂北京事務所勤務などを経て現在に至る。北京在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

TATA

32
大学生の時に読んだ「ワイルドスワン」や「大地の子」で文革の凄まじさを知ったわけだけど、やはりこの時代の話は読むと改めて戦慄を覚える。と舞台設定は厳しいはずなのだけど、喜劇と悲劇が絶妙にミックスされている本作品。マンガチックでジェットコースターな流れはまるで「テンペスト」みたい。下巻は少し時間をおいて読む。2024/12/02

アイアイ

26
自営業、親が地主や教師や医者と言うだけで虐殺される恐怖の中国の文化革命時代。 7歳の頃母の再婚によって中学教師の義父と1つ年上の兄ソンガンが出来たリー・グアントウ(禿げ頭の意)。 。紅衛隊による凄惨なリンチが一家を襲い血と涙の少年期を二人で生き抜く。 青年になり、同じ女リンホンを愛した為に兄弟の契りが崩壊していく。最後の一着や一杯は譲れても、愛した女だけは 譲れなかった。▽図書館 2016/02/12

キク

19
「三体」の文革の描写に、「こんなことが60年前に現実にあったのか」とビックリしたけど、この本ではさらに詳しい。ポルポトもそうだけど、毛沢東という1個人の思惑のために、数千万の国民の命を奪ってしまう政治体制っておっかない。意思決定の遅さは、民主主義で政治を行うためのコストだっていうけど、必要コストなんだなと実感する。ノーベル平和賞を貰った後に、別の虐殺事件への関与を指摘されている政治家が2人くらいいるけど、それくらい政治で善を行うって難しいってことなんだろう。国の為の人ではなく、人の為の国であって欲しい。2020/11/23

spatz

17
キャラクターが残酷なまでに個性的。 猥雑、という言葉が宣伝文句に使われていたが、確かに。 時々笑って手が止まる。 文革の時代の残酷な描写も。 脳裏に映像のように残るいくつかの場面も。鮮烈。 長いので随分間を開けながら読んだのだが、それでも内容を忘れていない、というだけで熱さがわかる。残酷だったり下品だったり後はとにかく長いので根気がいるが。中国文学に興味のある人にはおすすめ。長いので相当の覚悟が必要。元々は#NetGalleyJPさんのゲラ。1,000ページ越えのゲラだったので読みきれず紙の本で。

taku

15
人生の出来事が悲劇か喜劇か、当事者と観察者、現在と過去によっても変わる。極端であるほど人は関心を持つもの。悲喜交々を濃厚な原液をぶつけるように描き、作者の目論見は成功したと言える。お下品お下劣なエピソードも少なくないが、上品で高尚に生きていけるのは極一部でしかないってこと。「活きる」には静のイメージがあった。「兄弟」は動だ。生きる悲しみも、生き抜く力と笑いも一緒くた。余華をもってしても文章に変換しきれないほどのエネルギーは、この時代だからか、この国だからか。そう感じさせる作家の手腕か。2023/05/04

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