内容説明
故郷を離れバブルに沸く東京で、わたしは精一杯生きてきたはずだったのに…。失った恋、母への愛憎―悔恨と愛惜の思いを込めて描く、六人の「わたし」の物語。
著者等紹介
谷村志穂[タニムラシホ]
1962年、北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を発表。2003年には『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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taiko
20
地方出身、都心に住む30代の女性が主人公の、短編集。 みんな、危なげな恋愛をしていて、田舎の母に救われる、という話が多かったような。 正直、入り込めず、途中でやめようかなと思いつつ、頑張った感じでした。 最終話の表題作は、良かったです。 最後にちょっと救われた感じ。 バブル期の、トレンディードラマを見ているような気分を味わいました。2015/07/11
星落秋風五丈原
10
新聞社の編集助手をしている静江は、政治部の記者と不倫をしながら、仕事で知り合った平田というプロ野球の選手とも逢瀬を重ねている。男は二人とも妻子持ちで、静江と結婚する意志はまったくない。静江のほうも、そんなことを望んでいない。もうじき三十歳という年齢なのに、世間並みに結婚することは想像すらしていない。そんな暮らしをしているある日、自分が妊娠していることに気付く。2008/04/12
スノーシェルター
9
全体的に不幸。しかも自ら選んで不幸になる話ばかりな気がした。そんな娘達に優しい言葉をかけられる母親なんているのだろうか。でも、寂しさや漠然とした不安は、よくわかる。特に「きれいな体」の「誰もパパと呼ばせてくれない」という一言。寂しすぎる。2011/10/06
ろっか
6
不幸せな女性ばかりでてくる。ずっしりした読後感。重い。どの話もみるみる不幸になっていくので、全部同じ話のように感じる。優しい母親のおかげで立ち直っていく様子が感動的というより痛々しい。バブル期のラジオ、レコード、携帯電話。その時代の恋愛とはこういうものなんだ。と一歩引いて見てしまう。現代のなんと自由なことか。『泡立つ海』が好き。「女には皆、男の目の奥にある光が見える。孤独を生きる人ほど、光の輪郭がくっきりしている。見つめられると、光が胸の奥に届く」2019/01/17
kokomaki
5
みにくいあひる が良かった。 恋愛、結婚、母親になること。女性にとってはいろいろな形がある。すべての女性が幸せでありますようにと思わずにいられなかった。2016/06/23