内容説明
離婚や息子との死別を乗り越え、老いても自分の夢にかけた大正生まれのお草。知的で小粋な彼女が、街の噂や事件の先に見た人生の“真実”とは―。オール讀物推理小説新人賞受賞作を含む連作短編集。
著者等紹介
吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、初めて書いた小説「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。『紅雲町ものがたり』がデビュー単行本となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
98
紅雲町ものがたり。紅雲町珈琲屋こよみシリーズの1作目なんですね、和食器と珈琲豆を売る小蔵屋をアルバイトの久美と営む高齢の哀しい過去を持つお草さんが、小さな町紅雲町で起こる事件を解決する物語、ほっこりとさせられますね。2022/03/09
yanae
69
気になっていたシリーズ。単行本で読了。初作家さん。珈琲と陶器のお店を営むおばあちゃん「お草さん」がお店に来る人や紅雲町の町の人たちに起こる事件を解決していくお話。西條さんの「お蔦さんシリーズ」を想像していたら、お蔦さんよりもだいぶお草さんの過去も取り扱う事件も重め。少し物悲しさもあるけど、お草さんの優しさとがんばりと事件後の明るさで楽しく読みました。シリーズ読んでいきます‼2017/04/15
やま
61
東京から上越新幹線で1時間ほどの丘陵の大観音像を川向うに拝む紅雲町で、和食器とコーヒー豆の専門店「小蔵(おぐら)屋」を営む老主人・杉浦草(そう)76才の物語です。吉永南央さんの本を読むのは始めてです。この本が吉永南央さんのデビュー単行本です。2023/10/29
紅はこべ
60
日本版ミス・マープル?マープルが冷徹な観察者に徹しているのに対し、お草さんはまだまだ人生の当事者。特にラストの一編はお草さんの哀しい恋を描いて秀逸。この作者は偽悪的だが、実は心の中に純なものを秘めている男性が好みらしい。2010/05/13
あつひめ
51
70代とは思えない、お草さんの心。人は年を重ねるごとに人に寄り添いたくなり、また…距離を置きたくなる。どこまで踏み込んでいいのか…忘れられない傷を持つからこそ人を思いやることができる。あぁ~~~~、なんて切ないのでしょうね。「萩を揺らす雨」…妻と愛人両方を手放さなかった男…二人を真面目に抱え続けた男の愛と苦悩・・・。お草さんの粋な計らいが胸を突いた。骨は何も語らない。でも、もう誰にはばかることなく一緒に居られる。オール読物推理小説新人賞作家さんらしく先を期待させる描き方。とても楽しませてもらった。2011/11/19