内容説明
下級公家がいかに権力の中枢にのし上がっていったのか―構想四十余年。歴史の“虚”を剥ぎながら、卓越した分析力と溢れる好奇心で、真摯に史料と対峙し続けた評伝の最高峰。
目次
貧弱な構図
虚妄の世界
手入の風景
奔馬
皇女・皇女
奈落
姦物の時間
情報の虚実
毒殺・そして「壁」の光景
「深謀の人」の「記憶」
その日まで
余白に…
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaz
30
顔からして公家離れしている岩倉具視。イメージとしては大久保利通とタッグを組んで陰謀を張り巡らせ、明治維新を成し遂げた辣腕者というところ。ただ、いくら器量が大きくても、根本的な考え方がズレていたら、その企画は失敗する。そういう意味では、歴史の意思には叶ったのであろう。何にしても、「言葉の皮を剥く」をキーフレーズに、裏の裏まで冷徹に謎に挑む語り口が印象に残った。その成果の一つが孝明天皇の暗殺説と彼の関与の否定であった。 脇役扱いが多いが、彼を主役にした大河ドラマを観てみたい。2021/04/15
作楽
3
たった2行の文章に、どんだけの史実が入ってるのか……。脱帽の一冊。岩倉具視視点って、外からの視点って感じですね。渦中の人だと、全体像って把握するの大変そう。字も大きいし、やさしい感じなのに、読むのに(理解するのに?)時間がかかりました。2011/12/13
fuku
1
面白かったです。コネクションだねぇ。根回しだねぇ。永井路子さんの博覧強記、資料の読み込み力、簡潔な文章、感服です。2021/08/02
のりめぐ
1
幕末って、あらゆることが錯綜していて、なかなか理解しづらいのです。尊皇攘夷、明治維新って言葉にしてしまうと、その中身が空虚もしくは擬態したものとなってしまう。言葉を操れるのは人間だけど、言葉に操れてはダメだなと。 戦中を過ごした永井さんだからこその作品だと思います。2009/04/05
むつぞー
1
今回知ったことも多くて、面白かったけど、盛り上がりも欲しかった2008/03/20