著者等紹介
大佛次郎[オサラギジロウ]
明治30(1897)年、横浜市生れ。本名・野尻清彦。大正10(1921)年、東京帝国大学政治学科を卒業後、鎌倉高等女学校(現・鎌倉女学院高等学校)教師となったが、翌年外務省条約局勤務(嘱託)に。13年、大佛次郎の筆名で、「隼の源次」、ついで「鞍馬天狗」シリーズ第一作「鬼面の老女」を発表、作家活動をはじめる。『赤穂浪士』『パリ燃ゆ』『ドレフュス事件』『帰郷』『天皇の世紀』(絶筆・未完)など時代小説から現代小説、歴史小説、ノンフィクション、エッセイと幅広いテーマとスタイルで多くの作品を手がけた。昭和48(1973)年4月30日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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古古古古古米そっくりおじさん・寺
60
これは大名作である。いきなりお薦めである。鞍馬天狗シリーズで最も単行本化されたのがこれらしいが、さもありなん。優れた時代小説であり冒険小説であり児童文学であり、ラノベでもあるかも知れない。私はワクワクした。古典が1周して現代的意義が湧く事があるが、鞍馬天狗が虐待されている杉作達を救出する場面は胸が熱くなった。鞍馬天狗のキャラクターも魅力的。合間合間の風景描写はしばしばキラキラと美しく、アクションシーンの躍動感。そして考えさせられるラストシーン。これらがですます調で描かれる。100点をつけたい不朽の名作だ。2018/09/17
ポメ子
5
風景描写が美しく、ですます調なので、優しく語りかけてくれている。様々な困難にあたりながらも負けない心に、清々しさを感じた。登場人物の一部のその後に少し尻切れぽさもあったが西郷隆盛や近藤勇などの人物とも上手く物語をからめていて、すらすら読めた。2023/01/27
NICK6
5
もちろん天狗のおじさんはカッコヨイ。でも読み処はむしろ、英雄を慕い敬い恩返ししたい少年の行動にこそ。過酷状況下の少年のガンバリズム。弱気が勇気に、失望が希望に転化。しかし敵も攻勢、逆にやられて、また弱気、おお、再度っ復活だよって感じで一進一退の攻防、素敵すぎ。罠に嵌まって、苦しんで、成功と失敗。後半は相当な頁数を使って、プロットの振幅乱高下。もう、ワクワクソワソワが止まりません。ジュブナイルとはいえ、敵役の狡猾な攻勢、意地悪、罠と罠。いずれも容赦ない描きっぷり。どうやって突破?たっぷりでどっぷりのロマン 2021/10/02
ヨハネス
4
鞍馬天狗を一度読みたかった。プロコフィエフの有名なピアノ協奏曲に長唄「越後獅子」が使われていると知り、越後獅子についても知りたかった。越後獅子が実際に仕事をしている場面はなかったが、大まかに片鱗がわかり満足。ですます調で子供向けに書かれたものと初めて知った。だから読みやすく、普段寝る時間にも眠くならず一気に2時間ほどで読了。これで林家木久扇が鞍馬天狗をネタにしてももやもやしなくて済む。ただ「やおら」の使い方が間違っていると思う。これで間違った日本語を覚えてしまった子供たちが大勢いるのではないか。2023/10/18
八百屋さん
1
面白いのでビックリ。文章がとても丁寧に、ハッキリと、きっちりと、。物語りを大人の言葉で語ってくれる。そして何よりも、おもしろい。心の動き、情景描写、に当てはまる言葉、熟語を使って見せてくれる。発表された昭和の初め頃、子供だけでなく、トウのたった大人たちにも大人気だったに違いない。続編も読みます。2016/04/27
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- 和書
- 深淵のガランス 文春文庫