内容説明
華やかな外見のすぐ裏で魑魅魍魎が跋扈する平城宮。権謀術数をめぐらす政治抗争に、木っ端役人まで巻き込まれ、無実の罪に問われ、職を追われ、下手すりゃ命まで!?葛木連戸主と和気広虫の共働き夫婦は幽明境を異にして権力悪に立ち向かう!天平時代に花開く、爽快でポップな歴史ファンタジー誕生。
著者等紹介
山之口洋[ヤマノグチヨウ]
1960年東京築地生まれ。東京大学工学部卒業後、松下電器産業などで自然言語処理の研究開発に携わる。98年『オルガニスト』で第十回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。次世代執筆ツール「紙のキーボード」の開発で2005年度経産省IPA(情報処理推進機構)より「スーパークリエイター」に認定される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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天の川
37
聖武天皇、光明皇后、吉備真備、藤原仲麻呂、道鏡…奈良時代の錚々たる方々が総出演。主人公は下級役人(途中からは幽霊)の葛木戸主と妻の広虫。二人で取り組む大仏造立、正倉院への聖武天皇の遺品の収蔵、仲麻呂の乱、宇佐八幡神託に絡む4つの事件。夫妻は悲田院の運営に携わっているけれど、「火定」のような熱量の奈良時代の描き方ではなく、肩の凝らないファンタジー仕立てでした。2019/03/29
コリディ
10
6点。先日読んだ高橋克彦さんの「風の陣」と同じ時代、藤原仲麻呂、道鏡、吉備真備。内容は期待したほど面白くはないが、そこはかとないユーモアが好感持てる。もっと面白くにも出来ただろうに。それにしても山之口さんの多方面の才能には驚かされる。2022/03/07
カツイチ
10
再読。春先に奈良に旅行したら思い出して。10年以上前に読んだときは思いつかなかったネット検索で「国家珍宝帳」(画像)を見る。隈無くびっしりと玉璽が押印されていて、末尾には黒グロと「戸主」の署名!思わずご苦労さまと声をかけたくなった。公文書はかくありたし。現存するお寺や仏像はおおらかで明るい印象なのに、天平期の奈良はドロドロで血塗れの権力闘争。死んでも奉仕する戸主は役人の鑑、現代に生き返って欲しい!広虫との睦まじい仲も微笑ましいのでした。韓ドラ風フォージュン時代劇にしたらいいのに。2020/04/13
ホレイシア
8
期待が大き過ぎたのか、いまひとつ。文章は相変わらず上手いが、さて、この作品で何を試みたのか。八百万の神、特に宇佐八幡をおちょくったあたりは笑ったけどさ。「オルガニスト」でファンになった者としては、ああいう系の作品を望みたい。2009/05/25
あかつき号
7
初著者。 一種のサラリーマン小説に怨霊。プラス。怨霊(幽霊?)の存在が、違和感なく、面白かった。2017/04/16