出版社内容情報
あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ。
三十を過ぎた吉原の女郎・ミノにふってわいた“幸運”。自分にふさわしい幸せを見つけた彼女の人生の選択とは? “感動無限大”短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともくん
63
泣かせられる短編集。 基本、短編集は、あまり読まない。 だが、最後の『シューシャインボーイ』だけでも読む価値はある。 全編、浅田節が詰まった一冊。2019/08/31
taka61
36
【図書館本】浅田作品いいですね。今作品には良質な7つの短編が納められています。日本人の人情や心の機微が表現され、どの作品も素晴らしいと思います。なかでも「めぐりあい」は男の私が読んでも胸が締めつけられる想いがした、お気に入りの作品となりました。まさに読み友さんありがとうです♪2014/10/18
R
25
ただ、物悲しい。そんな感想を覚える短編集でした。類型するのは簡単だけども、そういう定規ではなくて、もっと単純な、ただ悲しい、生きているだけで、いい人が悩むという事象を切り取った物語が織り込められていました。一読、そんなわけあるかという設定も、なんだか人情ものとして、すんなり納得できてしまったり、流れるように読まされて、気づくと、心に何かが沁みているような素敵な読書でした。2016/01/03
しおり
22
どれも しみじみとした感情が心に残る7つの短編でした。世界大戦後の昭和を生きる人達が、何かを抱えそれを越えた瞬間の幸せを矜持として生きる、その姿に涙させられました。その世代ではないけれど昭和生まれの私にはとても響く一冊。2023/11/10
S.suzuka
19
余計なものは何ひとつない洗練された言葉、ことば。。哀愁のなかで優しさが煌めいた7つの短篇。ひとつひとつのエピソードの積み重ねが重要で読み応えのある長篇も良いが、必要最小限の言葉だけで紡いだ短篇はときとして長篇を凌ぐほどの余韻を残す。やっぱり浅田さんは短篇の名手、本の厚みと物語の良し悪しは必ずしも比例しない。お気に入りは〈冬の星座〉と〈シューシャインボーイ〉かな。〈そうじゃないよ、マアちゃん。あたしは一日でも長く生きて、他人様のお役に立ちたかっただけ。理屈は何もない。なあんにも〉▶︎2014/11/30