出版社内容情報
その冒険は、井の頭公園からはじまる。
生まれつき他人の顔を憶えられない青年が、神田川の源流から河口までを歩く、偶然出会った人々と連れ立ちながら。うつくしい夏の物語。
内容説明
井の頭公園に湧く水をたどりながら、僕たちは海まで歩く―それは、永遠の夏休みのはじまりだった。ひととひととがつながりあうミラクル。おだやかな熱に包まれる再生の物語。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年福島県生まれ。早稲田大学第一文学部中退。編集プロダクション勤務等の後、98年に『13』で作家デビュー。02年に『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞および第23回日本SF大賞を受賞。06年に『LOVE』で第19回三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみ
31
失顔症の青年の夏休みの冒険は井之頭公園から神田川をたどって海へ向かう。 最初は一人だったところからウナさんとカネコさんがいて増えたり減ったりしながら 途中は総勢16人。 顔を認識しない青年は、声、温度、体温、いろんなもので人を認識する。 それは顔をみるよりももっとその人をよくわかっているのかもしれない。 素敵な夏休みだった、最後がまだ繋がっていくような終わり方なのもよかった。 足つぼマッサージで寝ちゃうところがめっちゃ可愛いと思った。 東京の地理に明るいともっと楽しめるかな。2018/10/07
ありんこ
6
なんかゆるーい感じ。感想を文章であらわすのもなんだか。アイス片手に夏休み。こんな冒険も楽しいかも。実現しないかぁ~。2011/05/30
Lc
3
倒置法みたいな文体。 夏休み(といっても、登場人物は大人が多い)に皆で海をめざして歩くおはなし。最初はひとり、ふたりが3人になり、どんどん人数が増えて、半ばでは10人を越す大行列に。わいわい、がやがや。それが、後半につれて、さよならしていきます。ストーリーは起伏がゆるやか。出てくる人に悪人はなし。ゆるゆると、独特な文章を楽しむ。2011/08/30
新地学@児童書病発動中
3
私好みの長編。傑作。偶然出会った男女が川沿いの道を歩きながら、海を目指すというあらすじ。あらすじだけ書けば、平凡に思えるかもしれない。でも風変りながら存在感のある登場人物、リズミカルな文体、普通の日常生活の中にあるささやかな奇跡を積み重ねて作るプロットで、個性的な忘れがたい小説になっている。子供の頃の夏休みが永遠に続く夢のような雰囲気がたまらない。以前読んだ「ベルカ、吠えないのか?」と、まったく違う文体になっているのにも恐れ入った。2011/08/26
yutusbochan(yasuhiko.utsubo)
3
新しい作家を求めて手に取った一冊。井の頭公園からスタートして、海に向かう度をスタートさせてしまった僕。次々に出会う人。どんどん仲間は膨れ上がって、そしてひたすら旅を続ける。大人のメルヘンというか、独特の文体でした。他の作品がこうなのかはちょっと気になります。2010/08/08