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巨船ベラス・レトラス

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  • サイズ B6判/ページ数 208p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163256900
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

この本を読む者はすべて「巨船」に暮らしている。
出版不況、文字の衰退・・・。この船のさだめは、海の底へ導かれているのか。『大いなる助走』から三十年。鬼才のおそるべき文学作品。

内容説明

売れさえすれば作者を潰したっていいというのか。人間を使い捨てにする企業の論理か。そんな若いやつの小説、受賞した時だけその受賞した本が売れるだけのことじゃねえか。今の状況がなんでも正しいというんなら、なんでもうすぐ世界が滅びるってことを認めて、それを書かないんだ。それが現在の文学者のやるべきことじゃないのかい。現代日本文学の状況を鋭く衝く戦慄の問題作。

著者等紹介

筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年、大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業。1960年、SF同人誌「NULL」を主宰、発刊、短篇の「お助け」が江戸川乱歩に認められ、作家活動を始める。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞受賞。1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞受賞。1989年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞受賞。1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞受賞。1997年、仏政府よりシュバリエ章受章。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞受賞。2002年、紫綬褒章受章。映画、演劇、テレビドラマへの出演などでも活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

18
「小説」がテーマのメタフィクションもの。登場人物、彼らが書く作品の中の登場人物、本作を書く筒井康隆が出てくる重層的な世界観が面白かったです。登場人物を通して筒井さんの考え方や最近の文学界に対して思うことが表れていたり、登場人物たちに文学論を戦わせていたりして読みごたえもありました。最後の方にある私怨のぶちまけっぷりも潔くて楽しく読めます。全体を通して筒井節を堪能できる一冊でした。2013/09/22

いたろう

15
筒井康隆らしいメタフィクションもの。文学論を論じる小説家たちのところに小説の登場人物たちが現れるのにとどまらず、その小説を書いている筒井康隆本人までもが登場する。小説の中のはずなのに、筒井康隆本人が実際にあった著作権侵害の被害について、実名を挙げて糾弾しだすのには大笑い。まともな筒井康隆は2007年の本作が最後か? 「ダンシング・ヴァニティ」は10ページで読む気が失せたし、その後のジュブナイルは手に取る気もおきない。2013/03/10

hanchyan@つまりはそういうことだ

11
久々の筒井さん。さすが“メタ”の巨匠といったところ。中盤まではフェリー二の「8・1/2」やコッポラの「ワンフロムザハート」を思い浮べながらゆったりと楽しみ、広大なラウンジ(イメージはシャイニング)で四人の編集者が語り始めるあたりから雪崩の様に一気に読了。“自分が本を読むのはなぜ?”なんてことを考えながら。“本が好きで本を読み、読メに登録までしてる我々は果たして、この巨船に乗船できるのか!?”なんちて。いや、全然堅苦しくもないし面白いです(笑)。この本に関してだけは、まず解説から読んだほうがよいかもです。2013/12/04

ミツ

11
今ではもう御歳76歳(!)であり、最早過去の偉人といった印象だった筒井康隆だが、本作はその著者の2007年、73歳での著作である。「小説」について書いた小説であり、メタフィクションやスラップスティックの要素は健在で、それぞれ現実にモデルがいるであろう作家や編集者など文壇事情のイザコザを面白くおかしく描く。前衛とエンターテイメント、文学の終わりなどへの思いの丈、あるいは単なる愚痴や弾劾、やっかみを形にした小説であり、著者の最近の文学に対する考えを知るにはいい作品だと思う。良作。2011/01/15

ホッタタカシ

8
文壇の現状を扱って『大いなる助走』、メタフィクションを扱って『朝のガスパール』を思い出すが、作者自身がモデルとされる人物があっさり「最近は、昔の実験をわかりやすい言葉でリメイクしてる」と種明かししてしまうふてぶてしさがさすが筒井。最後には筒井自身まで登場して、構造をより重層化させてオシマイ。藤枝静男『田紳有楽』について、「こんなメチャクチャをいけしゃあしゃあと書ける老大家のふてぶてしい心境に早くぼくも立ちたいものだ」と言った筒井さん、もっとメチャクチャやっていいんでないの?2013/08/14

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