出版社内容情報
その毛沢東の木札が置かれた時、私は師団長の妻が待つ禁断の寝室へ向かう。
文化大革命を舞台に、偶像毛沢東を踏みにじった大胆不敵な性描写で、刊行直後に発禁処分となった問題小説、緊急翻訳出版!
内容説明
毛沢東の有名なスローガン、「人民に奉仕する」の木札が動く度、炊事班長・呉大旺は軍師団長の妻である、若く美しい劉蓮の待つ禁断の寝室へと向かった。「私に奉仕することが人民に奉仕することになる」劉蓮の大胆な誘惑に、はじめは師団長を恐れていた呉大旺も一線を越えて…。
著者等紹介
閻連科[エンレンカ]
1958年河南省生まれ。幼い頃より働き、高校も中退。20歳の時に解放軍へ入隊した。軍時代より文芸部門に従事し、河南大学と解放軍芸術学院文学系を卒業。80年代末より活躍する、中国の代表的な現代作家のひとりとなる。2004年、軍隊を離れ専業作家になるも監視付活動を余儀なくされている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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66
🌟🌟🌟☆☆。(オマケ)図書館本。映画『愛に奉仕せよ』を鑑賞後に読了。思ってたよりもとても読みやすかったので脳内補完をするつもりが……う〜ん、…ノーベル文学賞候補、らしいんだけどこの小説に関しては凡作で退屈、タブーに切り込むにしても作品としては、残念な感じだったかな。映画観ないでコレを読んだら🌟は1〜2だったかも。10章くらいから流し読みで、読み終えてももう一度読もうと思える魅力がなかったなぁ。映画が凄く良かっただけに残念。2022/07/19
harass
58
『愉楽』の著者の出世作。主人公の炊事兵は師団長の家に勤務するがその奥さんと本当の愛を知り、その日々は終わりが近づく…… 現代中国社会のしがらみにがんじがらめになっていいる男女が許されない愛に溺れる。そのまま心中するのではなく、その後の人生があるのだ。読んでて個人的に思うに、『チャタレイ夫人の恋人』の男性視点からの換骨奪胎か。ラストシーンは非常に抑えた筆致で、二人に良い方に考えたい。発禁処分を受けた小説であるがこりゃ怒られるのはわかる。小道具の使い方がうまい。この作家は相当なロマンチストだと感心した。推薦。2016/08/28
ヘラジカ
37
中国本国で発禁処分になったことが海外で紹介されるきっかけになるとは皮肉である。体制を恐れず書きたいものを書いたことによる褒賞とも勝利とも言えるだろう。全身これ共産党の思想と忠誠心の塊である一介の炊事兵が、上司である師団長の妻と不義を働いてしまうという話。ドロドロな男女関係を見せられるかと思いきや、意外にも意外、この上ない純愛を描いた小説だった。こちこちに固まった心を情愛を以って次第に溶かしてゆく劉蓮が実に艶やか。七日七晩愛する人と裸で家に籠って過ごす、とかちょっとやってみたいと思ったり…笑。2016/05/25
空猫
29
70(文革)年代(?)の頃の中国が舞台。中国で農民、貧困から脱出するには、軍隊に入って出世、が一番の安定だ。妻を貰うには「軍で出世し、妻子を町に呼び寄せる」と誓約せねばならない。女は将来有望の男に望みを託すしかないのだから。結婚がただの契約で、そこには相手を尊敬し、慈しみ合う気持ちはない。読んでいて『愛人(ラマン)』を思い出さずにはいられなかった。愛だけで結婚は出来ないけれど、愛も欲しいよね。何とも血が吹き出しそうな迫力のある作品。当時の中国の様子も知ることが出来た。他も読んでみたい。2019/10/02
ピンガペンギン
28
この作者の本を読むのは三作目。邦訳されても比較的短いので手に取りやすい。性的に不能になっている高齢の師団長の美人の妻が、農村出身の炊事担当公務員に目をつけて誘惑する。中国では雑誌発表後にすぐ発禁になった。毛沢東を侮辱する場面が後半に出てくるのが理由だ。作者自身が言っているように、他の作品のほうが出来がいいと思う。実は途中で読むのをやめようかと少し思った。かなりロマンチックな結末と考えあわせて、若い時に書いたのかな?と思ったところ、40歳代後半の発表だった。「四書」を次は読んでみたい。2025/02/08
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