内容説明
戦後初。探偵小説にも英国文学にも巨大な影響を及ぼし、全世界で百年以上も読まれつづける巨匠、ウッドハウス。その全貌を明らかにする戦後初の選集、第1巻は天才執事ジーヴズの機略縦横の活躍、よりぬき傑作選。
著者等紹介
ウッドハウス,P.G.[ウッドハウス,P.G.][Wodehouse,P.G.]
1881年10月15日に英国はギルフォードに生まれる。ダルウィッチ大学卒業後、銀行勤務を経て、20代で専業作家となる。著書は100冊以上に及び、現在もなお英国はもとより全世界で読み継がれる世界的な巨匠
岩永正勝[イワナガマサカツ]
1940年、長崎県生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。99年より英国P・G・ウッドハウス協会会員。現在のところ同会で唯一の日本人会員である
小山太一[コヤマタイチ]
1974年、京都府生まれ。英国ケント大学英文科博士課程修了。和洋女子大学英文学科専任講師、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
46
皇后陛下のご発言から読んでみた一冊。バーティーは若いイギリス貴族。有能な執事のジーブズと二人でロンドンのマンションに住んでいる。オックスフォードを出ているが、働いていない。両親の話はなくて怖い叔母や伯父がよく話に出て来るが生活費は親戚の世話になっているらしい。というか、ウースター一族の資産があるのかもしれない。有能な執事ジーブズが機転を利かせて様々な難事件からバーティーを救ってくれる。ジーブズは実にうまくバーティーを操っている。2019/02/09
絳楸蘭
36
ジーヴズ(執事)に何度も虚仮にされながらも頼らざるをえないウースター(主人)が可哀想だし、お馬鹿だなぁと呆れるし…。この二人はこの関係でいいんだろうなと思うものの、ウースターもう少し報われてもいいと思う。国書刊行会の『比類なきジーヴス』と収録作品が重なっていて読み比べをしたが、私はこちらの『ジーヴズの事件簿』の方が読みやすかった。コメディで面白いんだけど、毎回ウースターに肩入れして可哀想で終わっちゃうんだよね。バカな子ほどカワイイってやつかしら…。2014/05/18
歩月るな
28
おもしろすぎる。バークリーやセイヤーズを読んでいると、これは読んでおかないといけないよなぁと言う気にさせる偉大なる作品で、間違いないシロモノ。時系列に沿った収録になっており(それには複雑な書誌情報も絡む)人物連関がしっかりと組み合わされた長尺の長編としても読める構成になっているのが意外。完璧執事と間抜けな主人の話、とは言えその間抜けな主人バーティが「語り手」である点は特筆に値し、幾らバカだと言われても「語り」の才覚に目覚ましいものがあるのは明らかである。そしてジーヴズが「語り手」の話もあり、これが又巧妙。2018/06/06
シングルモルト
23
気のいい粗忽な若主人を襲う難題を天才執事が奇策の数々で見事切り抜けるお話。英国風のウィットの利いた表現、「くまのパディントン」シリーズのようにドタバタ劇が最後に丸く収まるストーリーが面白かったです。脇役陣も、超厳しく口の悪い叔母様や、女にだらしなく、主人公同様に粗忽な友人と、個性的。10章の「バーティ君の変心」では、一見従順な執事ジーヴズの本心が垣間見えて思わず「フフッ」となりました。2019/09/21
ゆい
21
楽しかった〜〜!事件簿、とかついてしまうといつもの苦手なほんわかミステリーかと思いきや、へっぽこな御主人様を抜かりなく相当スマートに支えるジーヴスのお話なのか。映画化するなら誰がいいかな。ちょっとイメージ違うけどジュードロウとかもいいし、若い頃のヒューグラントを御主人様にするのも最高。そして何と言ってもこの小説の世界観、イギリス上級階級のこってりした感じがいい味を出している…2017/03/31