出版社内容情報
松本清張賞リニューアル第一号。
異色・強者揃いの選考委員を一様にうならせた快作！
「あの山のいただきに、天下にならびなき天守を建てよ」
七層五重の櫓に南蛮風の意匠を誇る安土桃山城のプロジェクトは、熱田の宮大工から番匠となった岡部又衛門以言とその息子・以俊に託された。
甲賀の乱脈透派による妨害工作、信長の無理難題、天災、親子の葛藤・・・。天下一の大工集団は、築城を阻む障害をいかにして乗り越え、前代未聞の建築物を完成させたのか。
これは、今はなき安土城の築城から落城までを綿密に再現したドキュメントであると同時に、超一流の技術で信長の野望を形にした職人集団の気鋭を描いた戦国版プロジェクトＸである。
【著者略歴】
1956年京都府生まれ。
80年、同志社大学卒業。出版社、編集プロダクションを経て、86年、フリーランスのライターに。99年、小説ＮＯＮ創刊150号記念短編時代小説賞を「弾正の鷹」で受賞。
内容説明
野望に燃える信長の本拠・安土城築城を託された天下一の棟梁父子が挑んだ前代未聞のプロジェクトの全貌。第１１回松本清張賞受賞作。
著者等紹介
山本兼一［ヤマモトケンイチ］
１９５６年、京都市に生まれる。同志社大学文学部美学専攻卒業後、出版社勤務をへてフリーランスのライターとなる。９９年「弾正の鷹」で小説ＮＯＮ短編時代小説賞、「火天の城」で２００４年よりリニューアルされた第十一回松本清張賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nakanaka
81
岡部又右衛門以言と息子の以俊を主人公にした安土城建築の話。面白かったです。戦国時代にありながら武将ではなく宮大工を主人公にしているという点が斬新でした。信長にも一目置かれる以言のプロフェッショナルっぷりに同じ男でもやられてしまいます。始めは自信家で若造だった以俊が徐々に成長して立派な棟梁になっていく過程も楽しめました。しかしとんでもない建造物だったんですね、安土城は。現代に残っていないのが残念です。私自身岡部親子と重なる部分のある境遇なので興味深く、また共感もしながら読めました。山本作品は面白いなぁ。2016/07/21
ゆみねこ
62
壮大で華麗な安土城を築いた番匠たち。棟梁岡部又右衛門以言、又兵衛以俊親子を中心に話が進められる。信長からの無理難題に智慧を凝らして応える職人の心意気。父と息子がいつしか心を通わせ、共に天主構築に励む姿は感動的でした。愚かな信雄のせいでこのお城が焼失してしまったことは、返す返すも残念です。2014/04/03
けい
57
小学生の頃の友達との会話『安土城は誰が建てたか？』「織田信長」『ブー。大工さん』の大工さんの話です（余計分かりにくいって）戦国末期にこの様な城を建てようとする信長自身の非凡さとそれを支えた人々の非凡さを表す物語となっています。 初読のはずなんですが知っている主たるエピソードが多数？映画を先に見てましたね。原作とはかなり違う話になってますが。古の職人達の情熱やほこりを身近で感じられるとともに一つの時代が終わるはかなさを感じさせてくれた作品でした。2013/08/23
hiace9000
43
安土桃山城築城を託された岡部棟梁父子の魂が沸る建築プロジェクトに惚れる圧巻の読み応え！松本清張賞に納得の歴史傑作。大工、石工、杣らの己の職と腕への矜持が重なり、積み上がり、束ねられ組み上がっていく過程、文面の集密感はひしめき合い、読み手の魂を軋ませる。絶妙なる木組みと人組み、それを成し遂げた又兵衛や以俊らの気骨、それを成さしめた信長の気骨を思うと、「火天の城」となり灰塵に帰した、もはや見ること叶わぬ安土城の往時の威容を偲ばずにおれない。世の無常と盛者必衰、されど人の情熱は冷めず。実にいい作品に出会えた。2021/07/04
カザリ
38
諸事情で途中下車。着工手前まで読んだかな。。主人公にそこまで感情移入できなかったことがある。歴史小説ではあるけれど、職人を主に据えていて、そうやって読めば職人小説であって、だとしたら、もっと違う切込み方もあったかな、と思った。2015/08/17
