内容説明
昭和二十六年、武蔵野の恋模様。なにかを棄てなければ手に入らないものがこの世にはある。たとえば…さまざまな恋愛を通して甦る、あのころの「昭和」。著者初の現代小説。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
1954年、静岡県生れ。上智大学文学部英文学科卒業。外資系企業勤務をへて、翻訳、作家活動に入る。96年「眩惑」でデビュー。2003年「其の一日」で第24回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みも
32
清澄な水が緩やかに流れる様な、嫋やかで詩情溢れる文体と典雅な言葉の掛け合い。懐古的情景描写と温和な筆致が、時代の空気や匂いを薄衣を纏わせる様に伝える。時代は昭和26年。自堕落な生活に耽溺するニヒリストの誘惑に惑乱する初心な良家の子女。設定は陳腐だが、純潔を貫く彼女への訝しさと過剰な美化に対する読み手の反感を排除するにはこの時代設定が肝。テーマは「恋」周囲に表出する多様な恋の形状を外堀の様に巡らせ、惑溺を恐れ逡巡する公子の動揺を浮き彫りにする。静穏な余韻が心を満たす秀逸な恋愛小説であった。特に女性にお薦め。2017/01/27
さなごん
15
戦後のお話。翻弄される女性。それにしてもこの男性は、なんなんだ?あとおばあちゃんの恋切ない。2015/09/23
いくみん
1
えー、裏切られた〜。と思った。 けど、まぁ妥当な着地点なのかな? 私としては、公子さんに自分の殻?を破って 片岡さんと生きて欲しかった。2020/08/14
みるちゃん」
1
諸田さん初めての現代小説ということでしたが、現代というより昭和小説ですね。大変良かったです。実は諸田さんの本初めて読みました。歴史ものがほとんどでどれから読んでいいのか分からなかったのでこの本からになりました。図書館にはたくさん並んでますので次は歴史ものをと思ってます。2015/09/16
高麗(こま)
1
戦後間もない昭和20年代の恋の話。想像以上の予想外の展開にビックリした(+o+)この時代の恋愛って、もどかしくって切ない、、、(T_T)/2010/04/25