内容説明
信じられるものを失ってしまった心。私たちに再生の途はあるのだろうか。突然死した最愛の夫には別に愛する人がいた―。深い喪失感を抱えて生きる人たちを祈りにも似た言葉で描く四篇の物語。
著者等紹介
片山恭一[カタヤマキョウイチ]
1959年愛媛県生まれ。福岡市在住。九州大学農学部を卒業後、1986年「気配」で文学界新人賞を受賞し、デビュー
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感想・レビュー
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あつひめ
22
生きる・・・底辺に横たわっているテーマかな。生き方にはいろんな生き方がある。人には納得できないものもあれば自分が納得できない生き方もある。でも・・・それは生まれ変わっても繋がっている。心はいくつ言葉を並べても言い尽くすことができない。でも・・・その言葉をいくつも並べる行為が思いを積んでいくことなのかもしれない。2011/03/21
やまこ
18
長年積んでいた本。残酷なワードがまるでないのに、ついそそられる題名だなと思う。ジャケ買い、ならぬ題名買いをしてたんだろうなと思う。内容は、女性の作者かと思うほど女の人の視点の方がなんだかうまいなぁと思いました。私が女なせいなのか、男の人は難解に感じてしまった(最初のパートが特に)死生観、がテーマだったんでしょうか?世界の中心で愛を叫ぶは読んでなかったけど、セカチュー(懐かしい!)もこんな書き方なのか?透明な文体でした。たまに何言ってるのかも透明になりかけつつ読了。2019/12/10
N!LL
13
生に執着しない人達の心理描写がとても繊細。活力のない彼らはある意味常に冷静で、何をするにもやる気のない面とそんな自分を客観視する二面性を持ち合わせている。『死んだように生きている。この社会では、そういう生きた方しかできなくなっている』。生きることが分からなくなりすぎて、自ら亡くなっていった人達に一種の羨望を抱く。それは狂気的に感じるけれど、彼らの『死』の直前には『死への決意』という意志がある。それはほんのわずかな一瞬だけれど惰性で生きている自分達よりも遥かに生きる力を感じられる。2020/04/18
夢道場
9
「世界の中心で愛をさけぶ」以来の片山さん2冊目、表題作より最後のが好き、突然死した夫には他に好きな女性がいた!それには前世からの縁が絡んでて…最後のたまたま出くわした女性との会話がいいですね。2013/06/26
シュウ
7
静かな短編集。静かな中にも時々出てくるグッさっとくる短い言葉が印象的でした。話はわかっても、話によっては難しく意図するところがわからないものもありましたが、「百万語の言葉よりも」の静かな中のいろいろな気持ちに、なにか読後落ち着いた気分にさせられた気がしました。自分も一歩一歩進んで行こうとそんな気持ちになりました。2013/02/25