内容説明
この十九世紀末というのは、地球は列強の陰謀と戦争の舞台でしかない。―日清戦争の勝利にわく日本。しかし、思惑が複雑にからみながら列強の干渉は強まる。秋山好古は対コサック騎兵作戦を、秋山真之は対バルチック艦隊戦略を着々とたてはじめる。そして正岡子規はその最後の情熱をかきたて、文学にむかう。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市生れ。大阪外国語学校(現・大阪外語大)蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。59年、新潮日本文学大賞学芸部門賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。5年、文化勲章受章。8(1996)年2月12日逝去
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感想・レビュー
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mitei
321
意外に日清戦争が早く始まって早く終わった印象。ここから日露戦争までどんなドラマがあるのかワクワクしながら読んだ。2017/05/05
旅するランナー
72
日清戦争の勝利から、日露戦争前まで。登場人物たちの若々しい豪快さにワクワクできる。楽しく歴史書を読んで、学んでいる気分にもなる。正岡子規の凄絶でのどかな生活も面白い。2019/05/06
ケロリーヌ@ベルばら同盟
61
強いられた開国から僅かに30年余、『眠れる獅子』に辛勝した極東の島国は、征東へと舵を切る列強が生む怒涛に翻弄される。対露の勝ち目の見えない戦を回避する術を模索する政府首脳を他所に、日清の勝利に酔う世論は、更なる戦いへと傾倒してゆく。秋山兄弟は、兄は騎兵、弟は海軍という前例も見本もない未踏の荒野を進む。同郷の正岡子規は文壇、歌壇の革命にその短くも激しい生涯の炎を注ぐ。眩しい程の若き社会の、開拓者たちの命の輝き。懸命に自らの使命を果たそうとする人々の尊さ。現代の、将来に夢を見いだせない若い世代に読んで欲しい。2020/01/30
抹茶モナカ
39
日露戦争開戦までの日本を丹念に描く。好古、真之、子規の出番は多くなく、史実を描く事がメインになっている。そんな中で、子規が他界してしまう。この読書で、歴史の勉強になれば良い、と思って、頑張って読んだ。2014/09/07
しーふぉ
23
いよいよロシアとの開戦が迫る。 古参の海軍兵学校を出ていない将校を一斉に馘首し、まともな軍艦を持っていない日本海軍を旅順艦隊かバルチック艦隊どちらかであれば互角の戦いが出来る所まで山本権兵衛が作り上げる。秋山真之の戦術も山本権兵衛の戦略があってのもの。2018/08/17