内容説明
米不足が深刻化する大坂に、ふらりと男が現れた。幕府お庭番の家系に連なる剣豪・光武利之。料亭の女将と深い仲になり、商都の奥深さに魅せられる利之は、また、一人の友を得る。私塾「洗心洞」を主宰する大塩平八郎の息・格之助。信じる道を真直ぐ歩む友の姿に、いつしか利之は深く魅かれていく―。窮民救済を掲げて先鋭化する大塩一党、背後に見え隠れする幕閣内の政争、そして西国雄藩の不審な動き。商都の闇がいっそう深さを増す中、幕末の扉を開く運命の日は、刻一刻と迫りつつあった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
43
この著者の時代物を読みたいといろいろ探していてこれを手に取る。主人公は自由人的な剣の達人で、大塩格之助、大塩平八郎の子との友情を描く小説。よいのだが、思ったものと違い戸惑う。ハードボイルド作家だなあ、と何度も思いつつ読み終えた。悪くはないのだが、うーん。やるせなさ、苦さに痺れるのだが。だが。2026/02/17
鯖
14
さらっと再読。江戸から大阪に流れてきた剣豪と、大塩平八郎の息子との友情を描いた小説。大塩の息子ということでどういうラストになるかは分かりきってて、やっぱり辛い。利之は剣を捨て、庖丁に持ち替え、料理人として生きていくことを選ぶ。「ほんとうに、食べさせてみたい男が、ひとりだけいた。もう、食べものを口にすることもなくなった男だ。どんな捌き方をしても、あの男だけはうまいと言ってくれそうだった」このフレーズが目に入るなり、今度も泣きました。これこそが北方先生の小説だよなあ。2014/10/18
リードシクティス
11
米不足にあえぐ大阪を舞台に、江戸から来た剣豪・光武利之と、大塩平八郎の息子・格之助の友情を描いた歴史小説。大塩平八郎の乱を扱った小説かと思ったら、平八郎はほんの脇役だし、乱も物語の終盤にちょこっと背景的に描かれるだけだった。著者もおそらく最初から大塩平八郎の乱という事件そのものをクローズアップする気はなかったとも思うけど。主人公の利之は確たる目的があって動いているわけではなく、終始傍観者の立場であり、大ボリュームの割に一体この作品で何を描きたかったのかというところがいまひとつわからなかった。男の友情?2014/05/24
FUJI燦々
4
歴史上の有名人物とそうでない人物をかけ合わせながら、志や情感を加味しながら物語を紡ぐ、、、北方さん本当に凄い作家さんだなと感じさせる作品でした。最後の締め方なんて凄く格好良いなぁ。2019/08/09
らんらん
3
この本の中で『正義』について語られている箇所が2箇所ある。1)平八郎がどれほど正しかろうと、やり方によっては幕府はそれを悪と見る。正義を明らかにするより、その場で世が乱れるのを嫌うのが、権力というものだ。2)はじめからの正義など、信ずべきではない。そんなものは存在せず、強いものがやがて正義という名で飾られる。 いつの世の中でも同じなんだなと思う。作者の訴えたかったことの1つがこの『正義』の捉え方だと思った。 2015/11/08
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