内容説明
オール読物新人賞を受賞した表題作と、最新の力作中篇四作を収録。新直木賞作家の原点と現在が一望できる注目の作品集。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
昭和23(1948)年、高知県に生まれる。都立世田谷工業高等学校電子科卒業。会社員を経て平成9(1997)年に「蒼龍」で第77回オール読物新人賞を受賞。12年に初の単行本『損料屋喜八郎始末控え』を上梓。14年には『あかね空』で第126回直木賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
16
5つの短編を収録。読んでいるうちに、泣きそうになる。どれも単純にハッピーエンドだったり、悲劇だったりするわけではない。辛い気持ち、楽しい思い、悲しみ、いろいろまじりあった感情が、なぜか「泣きそう」を連れてくる。表題作は、何度も投稿しては落選を続けた著者ならではの作品。主人公の心の動きが実に説得力を持って迫ってくる。面白かった。好きなのは「長い串」。土佐藩士が天領で相撲試合を行ったことが大目付の耳に入った。こんにゃくを三角に切って串に刺しておでんにする。その串が、藩の危機を救うのだ。うん、これはいい話だぞ。2019/04/19
藤枝梅安
2
オール読物新人賞を受賞した表題作のほか、平成13年にオール読物に発表された4編をまとめたもの。 表題作の「蒼龍」は大工の弦太郎が貧乏暮らしから抜け出すため、瀬戸物屋の茶碗の柄の公募に応募する話。 作者自身が投稿を続け最終選考で落選した経験を持ち、それを基に書いたものだと思われる。 他の作品もそれぞれ町人や下級武士の日々の努力を描いた作品である。2010/01/04
Hisako
1
短編集であった。 2016/02/04
のりこ
1
どの話もピリっとして、あとはしみじみとした短編集。町人話、武家話と、うまく混じって、読みやすい。安心の一冊。2015/12/23
pin
1
江戸の人々のきりっとした心根が好きです。2008/08/12