内容説明
朧とは排除する人。殺す人。それを理解した教子が、やがて確信するに至るふたりの関係の行着く果て…。現代の「神と人間」の関わりを抉り出す“王国記”シリーズ、新展開。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナチュラ
15
王国記シリーズ2巻(文庫は3巻)。「汀にて」と「月の光」の中編2話を収録。前回の『ブエナ·ビスタ』と同じく、【朧】目線と、【赤羽】目線の話になっている。朧は施設を抜け出し長崎へ、赤羽には思わぬ来客が来て……。お互い閉ざされた世界から抜け出し、何かが動き出しそうな予感がしてくる。危うさのある空気感がたまらない。2020/02/16
あおさわ
2
朧と教子の逃避行「汀にて」赤羽元修道士と瀕死のシスター・テレジアと無の「月の光」どっちも肉体と感情、人と神が言葉の下で血を流して絡み合うようです。朧はこれから何をしでかすやら;2011/05/04
J_L_B_459
1
朧と教子のいいたび夢気分はやや緩慢で退屈だが、インテリ中年男の粘りつくようないやらしさを堪能できる「月の光」が秀逸。肉体感覚の執拗かつ鮮明な表現が特徴的。2011/04/24
ぴよ
1
宇川…くん…。彼の犯罪予備軍っぷりといったら…。朧は人を既に殺していて、教子は朧の子どもを産んだテレジアに殺意を抱いていて、赤羽はその朧とテレジアの子どもを思わず殺そうとして…等々、そんな描写も吹き飛ぶくらい、ストーカーじみた思い込みに囚われている宇川くんに一番リアルな恐怖を感じてしまいました。百合香、後ろー!2010/11/05
kageyama
1
レッドウィング厭世修道士が遠征する話。2010/06/11