出版社内容情報
歌麿の女房おりよが惨殺された。事件の黒幕は幕政を批判する歌麿を憎む老中松平定信。同心仙波の協力を得て、歌麿の反撃が始まる
内容説明
高波に襲われた深川で、浮世絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。下手人を追う同心・仙波の目前で続発する殺しや押し込み。歌麿の不可解な行動もさらなる謎を呼ぶ。果たして事件の黒幕は誰なのか?著者渾身の時代ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
としえ
16
大嵐の被害のどさくさに紛れ、絵師・歌麿の女房が殺された。関わった同心・仙波は、事件の裏に老中の影が見え隠れする事に気づくが、そこから先へなかなか進めず…。老中という巨大な壁、誰もが怪しく見える状況、本筋が見えないまま次々起こる事件に、前半はまさに「ぬかるみに嵌まり込んだ」ようでなかなか読み進められなかったが、後半で面白くなってきた。仙波の啖呵もかっこいいが、父・左門の的を得た発言も素敵。「同心は刀を持たず、主も持たない。主があるとすれば、それは将軍様やご老中ではなく民であると心得ねばならぬ」の言葉が好き。2015/12/24
あいべきん
3
もう、読む前から自信があったもんね。絶対に面白いって。思った通りでしたよ。正直、あの人はちょっと惜しかったですけどね…好きな感じだったので残念ではありました。でも、だからこそスリリングだったとも言える。こんなに面白いシリーズがまだあと何冊かあるんだ!と思うとワクワクして仕方ありません。2018/12/08
ジジ
2
よかれと思ってやってるんだよねみんな。確信犯てのは手におえないもので。独善的な正義を振りかざして行われるご改革、民衆の怨嗟、そして世の中のためにまっすぐに生きようとする人々の闘争の構図。『おこう紅絵暦』を先に読んで、ナゾだった仙波とおこうのなれそめも分かったし、春朗が何者かも判明。満足満足。2010/02/25
朱音
2
長編時代物。歌麿とかいうと塔馬双太郎の活躍する(しなくても…)浮世絵ものかと思ったが、これは歌麿本人が登場する時代物。ここに出てくる仙波氏がいい。典型的高橋主人公っていうか。自分の信じるところに正直で、真剣に生きてる感じで。…また時代劇界では普通ヒーローというか「ええもん」になってる人がちょっと悪役。え、ホントはこの人いい人なんだよねえ、とか思いながら読んでて、やっぱり…!先入観は捨ててかからなければなりません。もっともだ。2002/01/16
みろ
0
難しかった。敵か味方か?!これ読んで、歌麿と千一の関係が築かれたわけがわかった。このての正義人大好き。2017/06/28