出版社内容情報
歌麿の女房おりよが惨殺された。事件の黒幕は幕政を批判する歌麿を憎む老中松平定信。同心仙波の協力を得て、歌麿の反撃が始まる
内容説明
高波に襲われた深川で、浮世絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。下手人を追う同心・仙波の目前で続発する殺しや押し込み。歌麿の不可解な行動もさらなる謎を呼ぶ。果たして事件の黒幕は誰なのか?著者渾身の時代ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
59
『おこう紅絵暦』が寝る前の軽い読書に良かったので次にこちらを読んだ。こちらは力作長編、最初の殺人が猟奇的でどうかと思ったが、その後の展開は見事でついつい読みふけった。江戸時代の捕り物はお上の権威に寄りかかる(この印籠が目に入らぬか)展開が多いが、この作品は同心の仙波が証拠を固めて権力と渡り合い譲歩を勝ち取り小気味良い。父で隠居の左門も良い味。このシリーズ、次が『おこう紅絵暦』、以後は中心人物を変えて軽い短編集として続くらしい。仙波はここでは権力に楯突くがあとの作品では自分自身が印籠になっているのが面白い。2024/05/12
としえ
17
大嵐の被害のどさくさに紛れ、絵師・歌麿の女房が殺された。関わった同心・仙波は、事件の裏に老中の影が見え隠れする事に気づくが、そこから先へなかなか進めず…。老中という巨大な壁、誰もが怪しく見える状況、本筋が見えないまま次々起こる事件に、前半はまさに「ぬかるみに嵌まり込んだ」ようでなかなか読み進められなかったが、後半で面白くなってきた。仙波の啖呵もかっこいいが、父・左門の的を得た発言も素敵。「同心は刀を持たず、主も持たない。主があるとすれば、それは将軍様やご老中ではなく民であると心得ねばならぬ」の言葉が好き。2015/12/24
真波
7
シリーズものとは知らずに読了 久しぶりに高橋克彦読んで面白かったのでまた手を出してみようかな2024/10/05
あいべきん
4
もう、読む前から自信があったもんね。絶対に面白いって。思った通りでしたよ。正直、あの人はちょっと惜しかったですけどね…好きな感じだったので残念ではありました。でも、だからこそスリリングだったとも言える。こんなに面白いシリーズがまだあと何冊かあるんだ!と思うとワクワクして仕方ありません。2018/12/08
ジジ
3
よかれと思ってやってるんだよねみんな。確信犯てのは手におえないもので。独善的な正義を振りかざして行われるご改革、民衆の怨嗟、そして世の中のためにまっすぐに生きようとする人々の闘争の構図。『おこう紅絵暦』を先に読んで、ナゾだった仙波とおこうのなれそめも分かったし、春朗が何者かも判明。満足満足。2010/02/25