出版社内容情報
十三歳の少年が小学生の女子を絞殺した。中学二年の兄は、何が弟を駆り立てたのか探り始める。独りぼっちの"少年A"に迫る問題作
内容説明
13歳の弟は猟奇殺人犯!?14歳の「ぼく」の孤独な闘いが始まった。今を生きる子どもたちの光と影をみずみずしく描く問題作。麗らかな春の朝、緑豊かなニュータウンで九歳の女の子の遺体が発見された!現場に残された謎のサインは「夜の王子」。嵐の夜、十三歳の少年の補導で事件は解決するが、関係者にとっての本当の苦しみはそのときから始まった。崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校。「夜の王子」の真実と犯行の理由を求めて、十四歳の兄が、ひとりきりの困難な調査を開始した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あやさくら
39
図書館本。中学生が犯した殺人という犯罪。その犯人少年Aの兄であるジャガが弟の事件の真相を突き止める話。少年による殺人ということで、そこに至った動機が気になるところで読み進める。ジャガは中学生ではあるのだがとても芯が強く、加害者家族という事で嫌がらせをされても、中傷にも耐え真実の為に動く。ジャガにはとても良い友達に恵まれており捜査に協力してもらうのだが、ジャガの人柄がそうさせるんだろう。このお話を読むと被害者だけではなく、それを取り巻く様々な人の心情を考えさせられる。2019/12/14
Take@磨穿鉄靴
29
池袋-に引き続き石田氏。池袋は語り手が若い誠だったため表現が子供っぽいのは仕方がなかった。著者の目線の言葉が知りたかったけど今回のメインの語り手は中学生。前回同様表現は子供寄り。とは言え内容はなかなか重く最後はどう結ぶのかが気になったけど…。ちょっとラストは端折り過ぎた感が否めない。松浦君の後半の心の葛藤はもう少し掘り下げて欲しかった。松浦パパ同様。★★★☆☆2024/02/14
純子
24
石田衣良さんってこういうものも書くんだな。重松清さんの十字架を思い出した。罪を犯した子どもではなく、その兄ジャガの気持ちを中心に据えてある。ジャガには、巻き込まれ酷い目にあいながらもずっと味方でいてくれる友だちがいる。優れた容姿を自分だけ持たずに生まれたが、両親が長子であるジャガを頼りにしていくところにほらごらん、いい子でしょ?って胸のすく思い。罪を犯した弟を見捨てず、非難から逃げず、どこまでも強くいられるのは何故なんだろう。うつくしい子どもを強くするのは、大人たちの情けなさなのかな・・・。2017/11/17
扉のこちら側
14
2002年頃に読了。2010/01/22
そのぼん
13
以前に実際に起こった事件を彷彿とさせる作品でした。 周りで何だかんだ言っても、やはり事件の闇の部分みたいなものは見えづらいんだろうなと思いました。2012/03/31