出版社内容情報
諦念をひめた静かな叙情。藤沢さん二十代の療養生活、みじかい句作時代の百余句。その明澄な世界は藤沢文学の源泉そのものである
内容説明
著者は郷里で肺結核と診断され上京、北多摩の療養所に入院した。二十六歳の冬である。手術後、句作をはじめ、所内の同人句誌や静岡の俳誌に作品をよせる。それは、みじかいけれど真剣で充実した時間だったという。「初鴉病者は帰る家持たず」をはじめとする悲歎と諦念をこめた句や、「軒を出て狗寒月に照らされる」など鮮烈な写生句が、あわせて百あまりのこされた。
目次
「海坂」、節のことなど
「海坂」より
「のびどめ」より
拾遺
随筆九篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kemmel
3
藤沢周平氏の青年時代に作句された俳句と、句にまつわるエッセイをまとめた一冊。藤沢センセも亡くなられた後に、まとめられて出版されるとは思わなかっただろうなぁ...。俳句については詳しくないので全般的にはピンと来ず。ただ、自然描写の句からは後年の作品の描写に通じるものが感じられます。2016/09/29
やわらかかかと
1
藤沢周平自身があまり俳句を得意だと思っていなかったことを知って、とても好意的に読めた。郷里・山形での父の水争いを詠んだ句が昔の日本の貧しさを感じさせて、老いている父が水争いをしている姿をどんな気持ちでみていたのか。2013/07/22
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