出版社内容情報
父の死を前に、赤裸々な感情を絡ませあう家族の姿を淡く端正な筆致で描く表題作の他、人生の哀しみと温もりを見つめる珠玉短篇集
内容説明
医師として引き受ける他者の死の重さ。心身の病いの峠を越えた作家の眼に映る人と自然の素顔。芥川賞から十年、老父を介護する家族の本音を綴る表題作の他三篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつ
4
本棚にあった一冊。この文庫本はたぶん初めて読んだのだが、最後の短編の「さとうきび畑」は読んだことがある気がする。同じ主題で書かれた別の短編か、違う文庫本にも同じ小説が入っていたのか。「家族」は初めて読んだ話だが、こちらも小説やエッセイで何度も出た話を違った手法で書かれていた。別に新しい何かを求めていた訳ではないのでこちらとしては何も問題なし。作家にも“強い人”、“弱い人”と様々にいて、“強い人”から活力や勇気をもらうこともある。しかし、確実に言えることとして、弱い人間には“弱い作家”が必要なのだ。うん。2025/05/20