出版社内容情報
七年前に愛した女。彼女は今、私の幻覚に現れて何を呟きつづけるのか……。表題作の他、青春の、生のはかなさを描く珠玉の短篇集
内容説明
青春の翳。幻想の女。日常に潜む哀しみ、幻想、そして歓び―選び抜かれた言葉が彫り起す十一の小宇宙。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rabbitrun
5
文学青年と周囲の人々の記憶を紡ぐ短編集。誰もが結核や何らかの十字架を背負って生きている姿と、舞台となる静岡の風光明媚な土地のイメージとの明暗の対比が宗教的で印象に残る。ごくわずかな言葉から豊かな物語を喚起させる著者の表現力は素晴らしい。2022/11/03
hirayama46
4
はじめての小川国夫。これは私小説の色が濃い本なのかな……? 3部構成になっていますが、おおよそ学生時代、壮年期、現在に分かれている感じでしょうか。文章表現のひとつひとつが端正で、とても好みの文体だったので他の著作にも手を出してみようかと思います。長編は何がいいかしら……。2020/08/24
Iko
2
宝物のような一冊。若い頃のようなひりひりとした青春の熱はひそまっているけれど、短い文章がきらめいて、人物と一緒に自然の中に浸っているようだった。小川国夫の人物はいつも自然とともにある。2014/04/26
4545
1
花村萬月がエッセイで絶賛していたので、読んでみた。初めての小川国夫。読売文学賞受賞作。なんとなく色川武大を思い出してしまった。淡々といい文章かも。カトリックってところが、萬月の琴線に触れるのだろうか。2010/11/28