出版社内容情報
レイプの傷手から逃れるように女は網走に流れつき、恋人はその後を追った。真実を受けいれるために彼女が費やした半年を描く長篇
内容説明
自分をレイプから救うために殺人を犯したやくざ者の出所を出迎えに、麻子は網走に。しかしその心には、男に対する恩義と疑惑が交錯していた。流氷のように流れついた麻子を、優しく包み癒した網走の豊かな日々と、その中でみつけた真実を描く長篇恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
77
外からフラりとやって来る。何かに誘われるように…何かから逃れるように…。そんな者を黙って受け入れられる場所。網走ってそういうところなのかもしれない。腫れ物に触るような特別さもない。なのに…人は少しずつ、傷を癒すように自分の足で歩き始める。当事者ですら、本当のことがつかめないような環境で鬱々していた主人公。流氷が来る…ほんとだ。生き物のように見てしまってたな。でも、あの氷の塊も意思があるように感じてしまう。自分の意思ではどうにもならない…波の導きの中でゆらゆら揺れる切なさを。2013/09/30