出版社内容情報
名声が逆転した夫婦が葛藤の末にゆきついた"婦唱夫随"。鉄幹の偉大な"濡れ落葉"人生を通して夫婦のありようを問う長篇伝記小説
内容説明
歌の師・鉄幹に恋いこがれ、世間の常識に抗し、ついに妻の座を勝ちとった情熱の歌人・晶子。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kumiko
29
思えば中学で与謝野晶子の短歌を習った時、「〜今宵会う人みなうつくしき」「君死にたもうことなかれ」などの、ダイレクトな感情表現と情緒のあわいがなんとも言えず心に残っていた。いつか彼女の生涯を読んでみたいと思ったので満を辞してまずはこれを。金無し・妻子ありの鉄幹にほだされてからの晶子がすごい。普通なら途中で後戻りしてしまいそうな茨の道を、覚悟を決めた晶子はひたすら突き進んでいく。めちゃくちゃ歌詠みまくりながら。ここまで一人の男を信じられるのがもう才能なんだろう。2020/06/08
MIHOLO
14
短歌と言えば、ホムホム穂村弘さんくらい解りやすくないと意味がわからない私ですが、正岡子規と漱石先生の交流などを読んだら、この時代に興味が湧いて読んでみた。鉄幹て最悪だなぁ。でも今の時代もいるよね。女性にだらしない芸術家。途中、正岡子規も出て来た(キターッ!テンション↑)けど、あんまり関係は良くなかったらしい。確かに相容れなそう。子規だって困った人ではあったけど。そういう訳で短歌や当時の手紙の言葉遣いが読みにくく、すいすいは読めないけど、晶子がどうなって行くのか知りたいので下巻に進みます。2017/03/17
おけいさん
5
川島なお美さん→失楽園→渡辺淳一 という連想から手に取りましたが、とっても真面目な評伝です。本文中に引かれる歌や文語文は読みにくいところもありますが、晶子の鉄幹と歌への情熱には圧倒されます。このあとの、さらなる奮闘ぶりを下巻で読むことにします。2015/10/10
無謀庵
3
渡辺淳一氏というとシルバー向けエロ小説の人、と甚だ不勉強な思い込みをしていたところ、小谷野敦氏が推奨しているのを聞いて読んでみた。これがまた、与謝野鉄幹の社会人失格ぶりに晶子も山川登美子も大勢の歌人詩人も振り回される、別冊宝島的暴露本としても面白ければ、前後に起きたことから人々の心情をよく読み取って発言を解説していく優れた評伝でもあり、私のような和歌素人にも目に浮かぶようないい句が紹介され、まったく隅々まで面白い。2014/07/19
BebeCherie
1
与謝野鉄幹 was terrible! It made me mad! But this book helped me know more of 晶子's personality which is the base of her poems.2014/07/12