出版社内容情報
電話の主は「マグロ」か「スーパージェッター」か? 時間も空間もとめどなく歪み崩れていく「海芝浦」への旅はこうして始まった──
内容説明
「海芝浦」とはどこか、噴出する妄想の旅がはじまる。第111回芥川賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
46
ほとんどが一人称での話。仮眠空想の中で昭和と平成を、東京と地方を、行ったり来たりしている。 これも私の記憶だよね。2024/10/05
かふ
21
『タイムスリップ・コンビナート』は東芝工場につながる鶴見線は東京の果て(鶴見の湾岸)の「海芝浦」という東芝工場と繋がている。去年の今頃「鶴見駅の挑戦状」という鉄道オタが喜びそうな企画があったのだが、それがまったく『タイムスリップ・コンビナート』の場所と重なっていた。マグロから呼び出されるというのはゴーゴリ『鼻』のような滑稽譚を連想させた。最後の『シビレル夢ノ水』はカフカ的世界をよりおぞましくした小説だった。『タイムスリップ・コンビナート』は喪失した時間の物語でもあり味わい深い。稲垣足穂の近未来小説の影響も2023/12/24
踊る猫
10
スジだけを要約すると夢の記録を描いているような(まさに主人公が夢現の状態で過ごしている日々も描写される)作品集だ。だが、その「夢」を笙野頼子氏は恐るべく冷徹な視点で描いている。文章に無駄や余剰がないというか、硬質/ソリッドな印象を受けるのである。それでいて初期の作品のあの異様な読みにくさがなく、こちらを自在に引きずり込んでいくテクニックを自家薬籠中の物としていることが伺える。藤枝静男の持つ狂気のヴィジョンを笙野氏なりに変奏した、しかし猿真似/エピゴーネンでは決してない、そんな印象。吉田知子氏に通じるものも2016/04/14
nrnudk
8
「タイムスリップ・コンビナート」は芥川賞受賞作品。他二篇、「下落合の向こう」「シビレル夢ノ水」。なかなか手の出なかった作家さん。予想通りだった。表題作は比較的受け入れられた。2024/07/27
大粒まろん
7
なるほど、、、(笑)まるで、螺旋階段を登ってる様な、イヤ、降ってるのかな?イヤ、グルグル回ってるだかわからなくなる、軽妙なんだか、なんなんだか、とぼけた味わいです。ふふふ。そりゃ純文学論争も起こりますよね。四日市のコンビナートは確かに幻想的。マグロマグロマグロぐるぐる。。。2023/03/31
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