出版社内容情報
大正初め徳島に開設されたドイツ人俘虜収容所では例のない寛容な処遇がなされた。所長こそ真のサムライと称えられた会津人の生涯
内容説明
直木賞受賞作。ドイツ人俘虜と会津人収容所長。国境を越えた友愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
14
歴史小説が好きな勤務先の社長から紹介された著者。初読み。表題「二つの山河」と「臥牛の虜」「甘利源治の潜入」の三編。「二つの山河」;第一次世界大戦で青島(中国)で捕えられた独軍俀虜を収容していた坂東俀虜収容所(徳島)での所長松江豊寿と俀虜(独兵)との物語(史実がベース)。幕末賊軍扱いで冷遇され敗者の痛みを知る会津藩士の血を引く豊寿が、武士の情けで俀虜を人道的に扱ったこと、収容所内外での徳島住民との人間的な交流が物語られる。また、史実でもあるが、独料理、ビール等、数多くの独文化が伝えられたという。コメに続2013/03/18
にゃも
13
中村彰彦氏の作品はふんだんに資料が挿入されているものも多く、『二つの山河』はもはや半分は資料なんじゃ?と思われるほどで、自分にはちょっと読みづらかった。板東俘虜収容所の話は有名だが、所長の松江豊寿については名前を知っているという程度の知識しかなかったので、今回深く知ることができて良かった。捕虜となった人たちへの「敵といえども国のために戦ったもの同士」という思いに会津武士であった姿が重なりしみじみとした気持ちになった。2024/12/12
ウメ
4
自分が福島に所縁があるものだから、どうにも会津びいきの目線で読んでしまう。戊辰戦争後の苦労はいかばかりか。足を運んだ白虎隊の墓も、松江氏の尽力があったとは知らなんだ。2011/12/27
ペインター
3
第1次世界大戦で捕虜にしたドイツ兵と日本収容所でのお話。直木賞受賞作で短編。著者の調べた資料が巧みに構成されノンフィクションのような小説だ。著者の本は二冊目だが、調査した資料をもとに詳しく説明する形で小説を書くのが著者の書法であるのだろうか2018/02/01
シンチャイナ
2
幕末を題材3っの短編小説、2つの山河は第一次世界大戦で青島で捕虜になったドイツ人に対する、旧会津藩出身の収容所所長の心温まる、交流を描く。直木賞受賞作では異色に感ずる2017/11/30
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- 和書
- 多言語主義社会に向けて




