出版社内容情報
西軍に囲まれ落城間近の伏見城。忠死して家名を挙げた鳥居元忠の恐るべき謀略とは。表題作他、オール讀物新人賞を含む傑作短篇集
内容説明
西軍に囲まれ落城間近の伏見城。忠死して家名を挙げた鳥居元忠の恐るべき謀略とは。表題作他、オール読物新人賞を含む傑作短篇集。
感想・レビュー
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星落秋風五丈原
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思うさまに生きたい。この世を上手く渡りたい。 この願いを二つともかなえる武士は、稀である。 大抵は、生計(たつき)のために、後者を選ぶ。 なんだ、お前の思いはそんなものだったのか。 そう頭ごなしに批難するなかれ。 思いを通すために、人は時に、家族、故郷、果ては自分の名や命さえ、 捨てなければならない。 『非刃』の主人公、毛利元盛のように。世渡りを選んだ側だとて、何も失わないわけではない。 「お家大事。主君の命に従うのが武士というもの。」という定めに 従えば、個人の思いは捨ておかれる。2003/05/29