出版社内容情報
華奢な外容の下に、冷酷な本性を秘めた天智天皇。鞍作暗殺からその崩御までの、彼をめぐる濃密な人間模様を描いた傑作古代短篇集
内容説明
蘇我入鹿暗殺から壬申の乱前夜まで、七つの視点から描いた古代史小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アカツキ
9
天智帝にかかわる人物を主人公に据えた7作品の連作短編集。著者があとがきで天智帝はあまり好きではないと告白するように、この小説を読んで天智帝を好きになる人は少ないだろうなという読後感。妹の夫である軽皇子を踏みにじり、同腹であるその妹との禁断愛、弟の大海人王子の妻・額田王女を奪うとやりたい放題。しかし、最後に笑うのは長生きした者か。2022/10/30
あかつき号
9
久しぶりに堪能。2015/09/08
ひろ
1
この時代、皇族の人間関係が複雑すぎて、なかなか覚えられない。その点、いろいろな人の視点から天智帝を描くという発想が面白い。蘇我赤兄の娘である常陸娘は、はじめて着眼したが、石川麻呂の娘である姪娘とのやりとりは、なるほどさもありなんだった。杉本苑子さんと永井路子さんは同じ1925年生まれ、こういった古代史小説が流行ったのかな。2024/01/31
shushu
1
蘇我蝦夷・入鹿暗殺から壬申の乱直前までの時代。軽皇子、額田王、藤原鎌足等を主人公にした短編を通して天智帝を描くという連作。天智帝を肯定的には描いていない、と思ったら後書きにしっかり作者自身が書いていた。肯定できないが無視できない何かが天智帝にはあるということね。あ、額田王も好意的な描き方には思えませんでした。ふーむ。2017/03/22
橘みこと
1
天智天皇とその前後の時代が好きな方は必読の一冊です。…私的に鎌足とのやりとりで、「王者」から悩み多き人間の表情を垣間見せるようなシーンが好き。