出版社内容情報
インディアンの女三代の、知恵と愚かさのないまぜの日々を、アメリカ文学伝統の話術とユーモアで暖く綴った、各界絶賛の処女小説
内容説明
レイヨーナは15歳の少女。黒人の父親は家に寄りつがず、インディアンの母親は紙のスリッパで病院を抜けだしてしまう。母を追って保留地の祖母を頼ったが、祖母はウォークマンを耳に、そしらぬ顔。居場所がどこにもないレイヨーナは、だけどちっともへこたれない…。泥まみれの生命の輝き、異色の女3代記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
umeko
6
娘、母、祖母と3代にわたる女性の物語。3人それぞれの過去、現在、未来、そして家族への想いがすれ違ったり、重なり合ったりする度に、美しくきらめく一瞬を感じました。過去へ遡るほど血が濃くなってゆくような、濃密な内容に夢中になりました。2012/07/28
うにこ。
4
嬉しい当たり。 現代のインディアンの女性の、3世代に渡る過去と現在の話。 この作者の本は、童話じみたノスタルジックなインディアンものが中心なんですが、ご本人の処女作であるこれは全然そんなこともなく。 でもとても面白い。 祖母、母、娘の3人の目を通して語られる、母が生まれてから死ぬまでの物語なのですが、出てくる人のいちいちが生々しくて優しくて、堅くて重い。 嫌な奴もいい人もたくさん出てきて、でもその誰もにキンと光る一瞬があるのです。 2004/05/17
聖月
4
◎◎本書は決して、ミステリーではない。なぜなら、読む者の前に謎が存在しないからである。ところが、娘が知らなかった母親の気持ちや過去、祖母の気持ちや過去が、本人たちの視点から語られることにより、真実が、見えなかった事実が提示され、読者は知らなかった事実を知ることにより、まるで最初から謎がそこに存在していて、今やっと謎が解けたような、そんな気分にさせてくれる深みのある良書なのである。多分、これから先、本書が書評で紹介されることは、まずないだろう。今、それを読めているあなたは幸運である。是非、お読みなさい。お買2002/05/07
うにこ。
1
表に発散させることなく抱き込み続けた思いの熱さと重さが沁みる本。しかし、アイダおばさんはあの1週間、本当にクララのところに通っていたのかしら…。あんまり数を読んでいるわけではないけど、居留地を舞台にした現代インディアン文学に出て来る老婆は皆重々しい巌のような独裁者で、胸に大きな悲しみを抱えているような気がする。対して男性は無力な退役軍人で影が薄い。これは居留地政策の影響と関係があるのかなー。2011/04/06
タリコ
1
インディアンと黒人の間に生まれた少女レイヨーナ。その母クリスティーン、祖母アイダ。それぞれの口から遡って語られる人生の背景、立場、岐路、秘密、因果。生きることの煌めきとどうしようもなさを味わいました。2010/11/29